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“パナソニックらしい”カメラとは?「ルミックス」の気になる育成方針

9/20(金) 18:17配信

ニュースイッチ

事業担当者インタビュー

 2008年に世界初のミラーレス一眼カメラを開発したパナソニックだが、35ミリメートルフルサイズのイメージセンサーを搭載したフルサイズミラーレスへの参入は19年3月と遅れた。後発ならではの課題と戦略をパナソニックアプライアンス社スマートライフネットワーク事業部の山根洋介イメージングビジネスユニット長に聞いた。

―フルサイズミラーレスを投入した背景は。
 「『いつかはフルサイズを』という思いは以前からあった。スマートフォンに押されている業界だが、いい絵(写真)を撮りたい・見たいという需要は残る。その中で、仕事の道具を提供する覚悟の表れとしてSシリーズを投入した」

―なぜSシリーズの狙いをプロやハイアマチュアに絞るのですか。
 「デジタルカメラ『ルミックス』ブランドは誕生から約20年で、まだ歴史が浅い。ミラーレスカメラの購入が最も多い層は撮影に手軽さを求める人だが、そこですでに強固なブランドを確立している他社と真正面にぶつかるのは大変だ。Sシリーズの『DC―S1』や『同S1R』はパナソニックのカメラを心から求める客層を定義付けて投入している」

―シネマ向けのミラーレスカメラを秋に発売予定です。強みは。
 「撮影現場の省人化が求められている。肩に乗せる機材よりも一眼カメラの形の方が機動力は高い。数百万円もする従来のシネマカメラの機能をミラーレスカメラに注いだら強みになると考えた」

―ミラーレスカメラの今後の開発の方向性について。
 「Sシリーズは動画撮影の機能が重要。4K撮影はスーパースローの性能強化がポイントになる。8Kカメラのための商材作りも加速しなければならない。22年開催の北京五輪に向け、現地では8Kのインフラ整備にかなり投資をしていると聞いている。当社もその中で商材を整えていく」

―国内では東京五輪・パラリンピックの開催が近づいています。
 「公式スポンサーは二度とない機会。モデルや交換用レンズをもっと増やし、ルミックスが本気だという姿勢を見せたい。Lマウントの交換レンズを作る各社と話し合い、それぞれの個性が出せる製品を提供する」

―4月に開設したルミックスブランドのギャラリーも意気込みの表れですか。
 「東京五輪・パラリンピックに合わせて多くの人が海外に訪れる。玄関口とも言える場所で日本のことやルミックスのこと、世界観を海外の人にも知ってほしい。また、メイン会場ではプロ向けのサポートも提供する。プロのカメラマンと向き合う大事な機会だ」

―モノづくりでの強みは。
 「大型の非球面レンズの生産は難しいが、この点に関しては一日の長があると考えている。フルサイズミラーレス用の高性能なレンズを作る際に、大口径の非球面レンズの価値が出てくるので今後も強みを反映していきたい。100年に渡って続いてきたパナソニックのDNAが生かされているが、モノづくりの面だけでルミックスのイメージを浸透させるのは難しい。価値の伝え方には工夫が必要だ」

―カメラ市場の縮小について。
 「スマートフォンの影響でエントリーモデルは一網打尽にされた印象。さみしいことだがこれも世の常か、と思う。ただ、カメラメーカーとしてこのままではいけないという気持ちもある」

―エントリー層向けの製品も映像機能の強化がトレンドになっています。
 「会員制交流サイト(SNS)の普及に加えて、『ブイロガー※』と呼ばれる人たちが現れている。高品質な映像を撮りたい人の中には、『ゴープロ』のようなアクションカメラから本格的なカメラに移行しているという話も聞いている。いい映像をアップしたいという欲望が世界的に大きくなっている」
(聞き手=日刊工業新聞・国広伽奈子)

最終更新:9/20(金) 18:17
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