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「これは、富野由悠季の世界展じゃない」なぜ本人が否定? 監督インタビュー(上)

9/20(金) 19:14配信

西日本新聞

 盛況だった福岡市美術館を皮切りに、全国6つの美術館で開催される「富野由悠季の世界」展。ガンダムやイデオンなど数々のアニメ作品を手掛けた富野氏の初の個展には、企画書や絵コンテ、セル画など3000点以上の資料がずらりと並ぶ。

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 富野氏自身の目に、今回の展示はどう映っているのか。当時は気付かなかった発見や、次世代の制作者や人類への提言、地方論や戦争論、核兵器論からガンダムの原点となった展示物まで。6月、福岡でたっぷりと語ってもらった西日本新聞の単独インタビューを3回にわたってお届けする。(三重野諭)

 ―過去のインタビュー記事などを見て、自身の作品に自己評価が大変厳しいという印象がある。「富野由悠季の世界展」の開催を、なぜ認めたのか。

 現在まで認めてません。認めないという主義主張を通すために、この開催を(企画した学芸員に)「丸投げでお願い」したわけです。自分が主導せず、関与しないで済むことで、個人的に気休めになっている部分があります。

 実を言うと、ものをつくる立場として、ずっと気をつけてたことがある。「他人からしたら普通の作品でしかないのに、この人なんで威張ってるんだろう」っていう作家とかアーチストがいないわけじゃない。むしろ「巨大ロボットもの」ジャンルを自分が先行して選んじゃったわけなので、「大家づら」だけはしてはいけない、と気をつけるようにしました。

 もう一つ重要なのは、子どもたちが作品を見るだろうという点。「え、こんなものつくってて、あのおじさん偉ぶってるよ」って思われるのはみっともない。僕自身、自覚症状があるのは、中学ぐらいになれば作品評価ってのはそれなりにできるんですよね。作り手は営業論があるから「面白いんだよ」「見てくれ」というのは、営業トークなんだと、中学生でも分かる。子どもたちに対して、足元を見られるような口の利き方をしてはいけない。

 「営業トークを結局、最後まで良しとしている、あの大人たちってのは何なんだろうか」。中学時代からそんな感触があるから、よほど自分が納得しない限り、自作を褒めてる暇なんかないよね。現に絶えず基本的にぶっつけで作ってるみたいなものだから、反省点が山ほどあって当たり前。それを全く無視して(反省点が)ないかのごとく「見てください」ってのは嘘だと思う。

 だから自己評価が厳しいのとは、ちょっと違うと思います。そんな視点を持っているということなんです。(営業トークを)しない努力をしました。

 ―先駆者でいらっしゃるからこその視点では。

 先駆者じゃない(笑)。

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最終更新:9/20(金) 19:39
西日本新聞

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