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東海道・山陽新幹線「700系」どんな車両? バランス重視の「カモノハシ」台湾も走る

9/20(金) 16:00配信

乗りものニュース

ノーズを短くして客室を拡大

 東海道・山陽新幹線はJR東海の300系とJR西日本の500系によって高速化が図られましたが、これらの車両はいくつかの課題を抱えていました。そこでJR東海とJR西日本は、300系の改良型という位置付けで新型車両の700系電車を共同開発しました。

【写真】在りし日の700系と台湾の700T形。

 先頭車はカモノハシに似た形をしているのが大きな特徴。この形状の正式な名前は「エアロストリーム」ですが、700系といえばカモノハシを連想する人が多いかもしれません。

 設計上の最高速度は300km/hで、営業運転の最高速度は東海道新幹線が270km/h、山陽新幹線が285km/hです。500系の営業最高速度が300km/h(東海道新幹線内は300系と同じ270km/h)でしたから、新幹線の車両としては初めて、最高速度が従来の車両よりダウンしたことになります。

 これは新幹線車両としての「バランス」を考慮したため。速く走ることは技術的にはそれほど難しくありませんが、速度をアップすればするほど、音や振動が大きくなって乗り心地が悪くなりますし、製造費やメンテナンス費も高くなります。そのため、700系は速度はそこそこに、客室の居住性向上や低コスト化を重視して開発されたのです。

 500系の先頭車は、トンネル進入時に発生する騒音を抑えるための長いノーズ(先端から後方に向けて緩やかに車体が大きくなっていく形状)を採用しましたが、700系はエアロストリームの採用で騒音を抑えつつノーズを短縮。これにより客室が広くなりました。また、500系が円筒形の車体だったのに対し、700系の車体は300系に近い箱型に戻り、これも客室スペースの拡大につながっています。

 モーターの制御装置は低騒音タイプに変更。車体の素材はアルミ合金ですが、2枚のアルミ板のあいだにトラス状の補強材と防音材を入れ、軽量化を図りつつ強度を保ち、騒音も抑えています。

「グリーン車並み普通車」の700系も

 定員は16両編成で300系と同じ1323人。1号車から16号車まで各車両ごとの定員も300系とまったく同じで、東海道新幹線では「定員1323人の16両編成」への統一が進みました。車両のトラブルなどで急きょ別の編成に入れ替えることになっても、座席の位置が変わらないなどのメリットがあります。

 サービス面では時代にあわせた変化も。列車内でパソコンを使う客が増えていたことから、一部の車両にコンセントが設置されました。なお、16両中3両は喫煙車ですが、新幹線車両の喫煙車はこれが最後になりました。

 700系は1999(平成11)年、東海道・山陽新幹線用の16両編成が運転を開始。当初は「のぞみ」「ひかり」を中心に使われました。JR東海の700系とJR西日本の700系では、行き先表示装置の方式やロゴのデザインが一部異なるなどの違いがあります。

 続いて2000(平成12)年には、山陽新幹線のみ走る8両編成の700系をJR西日本が導入。「ひかりレールスター」という新しい列車向けに製造されました。8両すべて普通車ですが、指定席はグリーン車並みの4列で座席幅が拡大。4人用個室も設けられました。

 2006(平成18)年までに1328両が製造されましたが、N700系が登場すると「こだま」での運用が中心に。2012(平成24)年から廃車が始まりました。2019年4月1日時点の車両数は352両。16両編成の700系は2019年度内にすべて引退する予定で、東海道新幹線から700系の姿が消えます。なお、先頭車1両がリニア・鉄道館で展示されています。

 ちなみに、700系をベースにした台湾高速鉄道(2007年開業)向けの700T形電車が2004(平成16)年から2015年にかけ、408両が製造されました。新幹線の車両としては初の海外輸出です。トンネルが大きいため進入時の騒音は日本の新幹線より小さく、「カモノハシ」のデザインは採用していません。営業運転での最高速度は300km/hです。

乗りものニュース編集部

最終更新:9/20(金) 21:29
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