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大迫は設楽に1億円の“お土産”付きで「3枠目」まで持っていかれるのを見ているだけか

9/21(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

武田薫【スポーツ時々放談】

 東京オリンピックのマラソン代表を決めるMGCが15日に行われ、男女各2人が代表に内定した。残り1枠は、今後の指定競技会で、男子は2時間5分49秒、女子は2時間22分22秒以上を記録した選手に与えられ、記録が出ない場合に限り今回のMGC3位に入った選手が権利を得る。

 プレッシャーのかかったレースだけに、見応えある展開だった。男子は設楽悠太が飛び出し、それを追った集団の腹の探り合い、特に残り3キロからの2位争いの白熱は、国内マラソンで久々に味わう興奮だった。

 逃げた設楽、優勝した中村匠吾、2位の服部勇馬、3位の大迫傑、途中で先頭をリードした鈴木健吾ら、いずれも箱根駅伝で活躍した選手ばかりだった。一般のファンにも分かりやすく堪能できたのではないか。

 中村匠吾は駒大の大八木弘明監督が、大学時代から将来のマラソンを見据えて手塩にかけたランナーだ。同じように設楽や服部も、東洋大時代に酒井俊幸監督が東京オリンピックのマラソンをイメージさせて指導してきた。このところ箱根駅伝で青学大に食われっぱなしの両校OBの活躍は、マラソンの今後に示唆するものがあるはずだ。

■打倒青学大の信念

 2人の監督は年齢こそ離れているが、ともに福島県出身。特に東日本大震災の直前に上京した酒井監督は、故郷への重い思いを背負ってきた。

「福島同士で競ってきた駅伝経験が生きました」

 そうメールをくれた酒井監督も大八木監督もマラソン経験者だ。“打倒青学大”という共通の信念が実ったと言えるのではないか。ところでメールにはこうあった。

「(設楽)悠太は日本記録更新とオリンピック代表を狙いに行きます!」

 まだ話は続くのだ。

■ほくそ笑む東京マラソン

 3枠目を競うMGCファイナルチャレンジは、大迫の持つ日本記録2時間5分50秒を、福岡国際(12月1日)、東京マラソン(3月1日)、びわ湖毎日(同8日)のいずれかで切ることが条件。MGCに集合したトップが「3」を狙うためには福岡では準備時間がなく、一流選手とともに日本記録を演出できるのは東京マラソンしかない。

「東京に全員集合です」

 関係者はそうほくそ笑む。しかし、それはMGC開催を決めた瞬間に分かっていたこと。最近の日本陸連は財政豊かな東京マラソンに引っ張られ、東京の私物化という批判すらある。あながちひがみだけでもない。そんな裏事情はともかく、マラソンの面白さが再認識されたし、実際に東京は面白くなりそうなのだ。

 日本記録の更新に1億円のボーナスが支給される話を覚えているだろうか。設楽と大迫がゲットしたボーナス制は、今年度が最後。さらに、東京マラソンは一般大会だからトップ選手には出場料も発生する。すなわち、2時間5分50秒は単に「3」だけでなく、「1億超」の目安でもある。

 設楽悠太の自己ベストは歴代2位の2時間6分11秒、記録を狙える最有力候補だ。今回3位の大迫はどうするか? 日本記録も破られ、1億円のお土産付きで「3枠目」も持っていかれるのを指をくわえて見ているのだろうか……こういうちょっと下卑た話題がマラソンの面白いところだ。

(武田薫/スポーツライター)

最終更新:9/21(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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