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「典座 -TENZO-」富田克也、僧侶たちと歩いたカンヌ赤絨毯を回想「皆さん大人気で」

9/21(土) 22:11配信

映画ナタリー

「典座 -TENZO-」が本日9月21日に東京・国立映画アーカイブで先行上映され、監督の富田克也がトークショーに登壇した。

【動画】「典座 -TENZO-」予告編(メディアギャラリー他5件)

「典座 -TENZO-」は、山梨と福島で暮らす2人の僧侶、智賢(ちけん)と隆行(りゅうぎょう)の苦悩を軸に、東日本大震災以降の日本における仏教や信仰の意義を紐解く作品。実際に全国曹洞宗青年会の僧侶である河口智賢と倉島隆行が出演している。第72回カンヌ国際映画祭批評家週間の特別招待部門に出品されたことから、この日は第41回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のプログラム「カンヌ映画祭批評家週間って何?」内で上映された。

青年会からの依頼で製作された本作について、富田はまずその経緯を説明。「最初はプロモーションビデオみたいなものかと思っていたら、倉島さんが短編映画にしてくれと言うんです。じゃあ映画にしようってなったら、次はカンヌ、カンヌと言うようになって」と隆行を演じた倉島から熱心に映画化の打診があったことを明かす。

南仏で修行をした際にカンヌ国際映画祭を訪れた倉島は、同映画祭への並々ならぬ思いがあったという。富田は「青年会の企画会議で、カンヌのレッドカーペットを袈裟着た坊主が歩いている合成写真を見せたらしいです」と裏話を披露し、「(カンヌでは)皆さん大人気で、写真を撮らせてくれと人がたくさん集まって来ました。『少林寺か?』と勘違いされた方も多数でしたが(笑)」と倉島の夢が叶ったことを報告した。

タイトルの「典座」とは、禅宗の寺院において僧侶や参拝者の食事をつかさどる役職のこと。富田は「日常の行いすべてが修行であるという考え方なんですよね。典座をテーマにすることは最初に決まりました」と語り、地球の循環を描くうえで四季を捉えるようにしたと付け加える。さらに、青年会の僧たちから尊敬を集める曹洞宗の高僧・青山俊董の出演について、「一番最初に撮影して一発勝負で撮りました。スタッフみんな持ってかれちゃって。ぶっ飛びました」と回想。「曹洞宗を紹介する映画なのに、いきなり曹洞宗批判から始まるんですよ。『日本の仏教を駄目にしたのは世襲制と檀家制』って、今のすべてをバーン!とひっくり返して」と青山の語りにたちまち魅了されたことを振り返った。

イベントではQ&Aのコーナーも。なぜ福島を描いたのかという質問に富田は、「河口くんや青年会のお坊さんたちが、3.11がきっかけで考え方が変わったと。本当の意味での仏教が求められている気がしたと言ったんです。それで福島パートは必ず入れなきゃいかんと思いました」と答える。そして福島を舞台にするにあたり、震災で家族や寺を失い自死した僧のことや、震災直後に遺体を探し歩き軽トラックで運んでいたことなど、壮絶な話を福島に住む僧侶たちから聞いたことを明かした。最後に富田は、「青年会が常に僕ら側に立ってくれて、本部を説得してくれたことが何度もありました。でも結局この映画をやらせてくれたので、曹洞宗というのは開かれた宗派だなと思いましたね」と感謝の気持ちを述べ、トークの幕を引いた。

「典座 -TENZO-」は10月4日より東京・UPLINK吉祥寺、UPLINK渋谷ほか全国で順次公開。なお本日9月21日をもって第41回ぴあフィルムフェスティバルは閉幕した。



(c)空族

最終更新:9/21(土) 22:11
映画ナタリー

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