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三菱商:約345億円の損失発生へー海外の原油デリバティブ取引で

9/20(金) 15:19配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 三菱商事は20日、全額出資するシンガポール子会社のデリバティブ取引で約3億2000万ドル(約345億円)の損失が発生する見込みだと発表した。シンガポールで原油・石油製品の取引を行う子会社の中国籍社員が社内規定に違反する取引を行ったことによるもので、7月以降の原油価格下落で損失が拡大した。

この社員は1月以降デリバティブ取引を繰り返しており、リスク管理システム上のデータを改ざんし、中国の顧客向けの原油取引に関連したヘッジ取引であるかのように装い発生した損失が社内で認識されなくなるようにしていたという。8月中旬以降同社員は欠勤しており、担当していた取引を精査したところ不正が判明した。

この取引を行った現地社員を9月18日付で解雇し、19日付でシンガポールで刑事告訴した。対象の取引はすでに手じまっているものの、関連取引費用などを含めた損失の確定額を現在精査している。今期(2020年3月期)の業績予想に与える影響については精査中で、見直しが必要になった場合には速やかに発表するとしている。

広報部の判治孝之部長によると、損失は7-9月期の業績に影響を与える可能性があるという。11月6日に4-9月期の決算を発表する予定。18年11月に入社したこの社員の給与はパフォーマンスに連動するものではないためにデリバティブ取引を行った動機は不明で、現在調査中だと述べた。8月中旬以降、弁護士を通じた接触が1回あっただけで、この社員とは連絡が取れていないとしている。

事情に詳しい関係者によると、この社員はジャック・ワン氏。ブルームバーグはワン氏の携帯電話に連絡して取材を試みたものの通じなかった。三菱商の広報担当は解雇された社員の氏名については確認を控えた。

総合商社のシンガポールでの石油関連取引では、07年に三井物産の子会社で契約社員のトレーダーがナフサの先物取引で多額の損失を発生させていたにもかかわらず会社には虚偽の報告を重ね、最終的に同社が約100億円(当時のレート)の損失を計上したケースがあった。三井物はその後子会社を解散した。

野村証券の成田康浩アナリストは20日付リポートで同発表に関し、「損失額の大きさもあるが、社員の取引状況に対して管理体制が不十分だった点はネガティブな印象」と指摘。SMBC日興証券の森本晃アナリストは、第2四半期の業績下押し要因になるとした上で、「足元の原料炭価格下落も考慮すれば、通期会社計画の純利益6000億円は下方修正が避けられないだろう」との見方を示した。

(c)2019 Bloomberg L.P.

Grace Huang

最終更新:9/21(土) 13:08
Bloomberg

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