ここから本文です

東京五輪自転車競技の選考事情③マウンテンバイク・クロスカントリー 山本幸平に迫るのは?

9/22(日) 6:00配信

Cyclist

 いよいよ来年に迫った東京オリンピック。10月6日には伊豆で注目のテストイベントが開催されるマウンテンバイクのクロスカントリー競技(MTB-XCO)ではどんな選手が代表に近いのでしょうか。BMXやMTB競技に精通するKasukabe Vision FILMzの織田達さんに、代表選考について考察してもらいました。鈴木雷太監督の一問一答もご一読ください。

◇         ◇
XCOの参加人数は?
 1996年からオリンピックの正式種目となったMTB-XCOは、過去に6回開催されている。日本ではこれまで、男女ともに4人の選手がメダルを目指してオリンピックに参戦。男子は2008年、2012年、2016年に現全日本チャンピオンの山本幸平(ドリームシーカーMTBレーシングチーム)が3度出場し、4大会連続出場を目指している。女子は2012年のロンドンオリンピックに出場した小田島(片山)梨絵さん以来、2大会ぶりの出場となる。
 現在日本が獲得している出場枠は、男女ともに開催国枠(1枠)のみ。国別ランキングや世界選手権などの成績に応じて出場できる選手は、3者委員会の招待枠を除くと男女それぞれ38人だ。
 また、国別ランキングでは、1位~2位は3人、3位~7位が2人、8位~21位が1人で、上位3か国がエントリーできる人数は最大「3」となっている。
日本のランキングと出場枠
 一方で日本の国別ランキングは、世界選手権が終わった時点で25位。仮に21位にランクアップして開催国枠(1枠)とランキング枠(1枠)を合わせても2枠とはならず、ランキングで獲得した出場権は22位以降の国にスライドされる。

 日本から2人以上参加させるには、国別ランキングを7位以上にしなければならないが、ランキング7位の国チェコとはポイントが倍以上違うため、現実的ではないと言える。
 この国別ランキングは、UCIが2018年3月に発表した参加資格枠の解説によれば、2019年5月28日付ランキングと2020年5月28日付ランキングの合計順位で決定されるようだ。ちなみに日本の2019年5月28日付でのランキングは26位となっている。
 過去3年のランキングを見てみると2016年が22位、2017年が28位、2018年が24位。それを踏まえると、出場枠確定の期限、2020年5月27日でも25位前後かと想像できるだろう。どうやら参加枠は開催国枠(1枠)のみになりそうだ。ちなみに女子の国別ランキングは37位。現状から判断すると、五輪に出場するには開催国枠しかチャンスはない。
 UCIが2018年3月に発表した選手のオリンピックの参加資格と、JCFが2018年9月6日に発表した選考基準は、以下の通りだ。

選考基準

UCI選考基準

A) 2001年12月31日以前生まれの者。

B) 2019年5月28日または2020年5月28日付UCI個人ランキングで10ポイント以上の保有者。
JCF選考基準
 2018年5月28日~2020年5月27日の期間でUCIオークラス大会以上において各優勝者と同一周回において競技を終了し、その大会におけるUCI個人ランキングポイントを獲得した者。

 ここでいうオークラス以上の大会とは世界選手権大会(CM)、ワールドカップ(CDM)、大陸選手権(CC)、オークラス(HC)を意味する。つまり全日本選手権(CN)、八幡浜で行われるクラス1の「やわたはま国際MTBレース2019」は個人のUCIポイントとしてはカウントされるが、選考対象のレースではない。しかし選考条件をクリアしている選手が複数人いる場合はUCI個人ランキングが重視される。
 現在男子の中で選考条件をクリアしているのは、山本幸平(ドリームシーカーMTBレーシングチーム)、平野星矢、沢田時(ともにチームブリヂストンサイクリング)の3人。女子は2年連続で全日本チャンピオンとなった今井美穂(CO2bicycle)とU23の松本璃奈(チームスコットジャパン)、そして川口うらら(日本体育大学)だ。男女ともにU23の選手にもオリンピックの出場資格はあるが、UCI個人ランキングでエリート選手を上回る必要がある。
来年5月までは未確定
 現在までのUCI個人ランキングでは男子の場合、山本が595ポイント、平野が301ポイント、沢田が300ポイントと、山本が大きくリードしている。

 スイスのニノ・シューター、オランダのシクロクロス世界チャンピオンのマチュー・ファン・デル・ポールなど、超人レベルの強豪が出走するワールドカップで2度完走している山本は、もはや圧倒的に代表の座に近い。しかし、選考レースは来年の5月最終週まであるのでまだ確定とは言い切れない。女子の場合も、今井以外のエリート女子選手や、U23クラスの選手による1発逆転の可能性もあることからまだ確定とは言えない。

◇         ◇

鈴木雷太監督インタビュー
――2019年シーズンも半分過ぎましたが、これまで行ってきた取り組みを教えてください。
鈴木雷太監督:2019年はAチーム(山本幸平、平林安里、松本璃奈、小林あか里)を軸に2月にタイ合宿、5月はWCドイツとWCチェコ、7月はアジア選手権、8月WCイタリアとWCスイスを終えて、9月は世界選手権、WC最終戦アメリカに参戦しました。またスイスWCCへの女子U23と女子ジュニアの長期合宿と派遣となります。
 良かったこと悪かったことと色々とありますが、長期的にヨーロッパへ行き同年代のカテゴリーでレースと練習を行うことの意味をさらに感じています。レースを行う上でのフィジカル不足もありますが、コースの難易度が日本と大きく違い、そこを集団で走るといった基本的なことも含めてできていない、経験が少なすぎるといった問題に日本は直面しています。
――今後はその問題に対してどのように対処していくのでしょうか。
鈴木雷太監督:身体、テクニック、経験をどう積み上げていく事が強化になると思っていますが、まずはアメリカやカナダのようにナショナルチームでジュニア、U23、女子を中心としたチームを作り、土壌のあるヨーロッパへの派遣を行い、その環境で選手を育てていくことが大切だと考えています。
 WCC参加している松本璃奈、小林あか里、そして自費フランス遠征している北林力は、今シーズン目覚ましい伸びを見せて成績を出しています。留学するだけで強くなるとは思いませんが、コーチの有無や選手層の厚さなどを含めた環境、言葉と食事、時差を含めた文化などの違いが大きな壁になっているのも事実です。
そういった意味で2024パリ大会に向けては、ジュニアとU23カテゴリー、そして女子全カテゴリーを中心に強化遠征を図っていければと模索中です。その中でも特に女子は松本璃奈、川口うらら、小林あか里、渡部春雅と素晴らしい選手も多く、強化をしていきたという考えも個人的には持っており、より一層JCF強化部と連携して環境を整えていきたいと考えています。

 ご存知の通り10月6日にはオリンピック会場となる修善寺・日本サイクルスポーツセンターでテストイベントが開催される。日本からは男子4人、女子3人が出場を予定しているとのことだ。テストイベントへの選考基準はJCF発表の基準通り、UCI国内最上位選手、Aチームおよび強化指定選手から選考される見通し。また、テストイベント以降の選考期間内のレースへの参戦予定などは、現在計画を策定中だという。
 男女ともに今年の全日本選手権覇者が一歩リードのように感じるが、他の選手にもチャンスが残っているのは事実。今後の代表争いに注目しよう。

最終更新:9/22(日) 8:29
Cyclist

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事