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【世界初】実行犯が新証言 工作員2人に連れられた「北朝鮮レストラン」が作戦拠点か

9/22(日) 18:02配信

FNN.jpプライムオンライン

金正男氏暗殺の実行役として逮捕されたベトナム人のドアン・ティ・フオン元受刑者がFNNの取材に、北朝鮮工作員に騙されて事件に関与することになった経緯の一部始終を語った。

【画像】FNNの単独インタビューに答えるフオンさん 工作員と一緒に行ったカラオケ店

フオンさんは事件の2ヶ月前、工作員2人に連れられてハノイの北朝鮮レストランを訪れていた事が判明。「北朝鮮レストラン」が暗殺作戦の拠点となっていた可能性が浮上した。

北朝鮮工作員に連れられカラオケ店へ

暗殺2ヶ月前の2016年12月、ハノイ市内。フオンさんは「ミスターY」と名乗る男(後に北朝鮮工作員と判明)とともに何度目かの「いたずら動画」の撮影に臨んでいた。この日はスーパーマーケットの中で、客にサプライズキスをする「いたずら動画」の撮影だったが、人が少なかったため撮影は中止されたという。

ーー.この日は撮影をしたのですか?

フオンさん:
「人が少なく、マネジャー(ミスターYを指す)は撮影を中止すると言いました。その後でコーヒーを一緒に飲み、カラオケ店に誘われました。そこで泥酔してしまいました。」

ミスターYは、フオンさんのモチベーションを上げるため、度々食事に誘ったり、クリスマスに小遣いを渡したりするなど、様々な便宜を図っていた。2回目の撮影後、ミスターYはフオンさんをカラオケ店に誘う。そこでミスターYとハナモニ(もうひとりの工作員)は韓国ソングを歌いながら上機嫌で酒を飲んでいたという。

ーー彼らは楽しんでいましたか?

フオンさん:
「はい。彼らはお酒に強かったです。私はお酒が弱いのですが、女優の仕事が欲しくて飲みました。」

カラオケ店の隣にある「北朝鮮レストラン」へ

カラオケ店で1~2時間ほど過ごしたあと、ミスターYたちはフオンさんをすぐ近くにある韓国料理店へ連れて行ったという。彼女に実際に案内してもらうと、その店は韓国料理店ではなく、北朝鮮のレストラン「平壌館」=いわゆる「北朝鮮レストラン」だった。フオンさんは男2人と共にレストランで10分程度過ごしたあと、酒の飲みすぎで気分が悪くなったため店を出て一人で帰宅したという。

「北朝鮮レストラン」は中国やアジア各国に今も100軒以上あるといわれ、北朝鮮の合法的な外貨稼ぎの拠点として知られている。北朝鮮から派遣された容姿端麗な女性従業員による歌や踊りが有名で、それらを求めて多くの客が訪れる。ここまでは表向きの話で、実際は現地の北朝鮮大使館などと繋がりが深く、北朝鮮工作員らのスパイ活動の拠点として利用されているという疑惑が度々指摘されてきた。

もう一人の実行犯シティ・アイシャ元被告の出身国インドネシアでは暗殺事件直後、ジャカルタ警察当局が「北朝鮮レストランがスパイ活動の拠点になっている疑いがある」として捜査を開始。その後、ジャカルタの北朝鮮レストランは廃業に追い込まれている。

今回、フオンさんがハノイの北朝鮮レストランに連れていかれたのはなぜか。
おそらくフオンさんが暗殺実行犯としてふさわしいかどうか、店内でミスターYやハナモニ以外の工作員によって品定めされる場となった可能性があるのではないか。

工作機関の中枢にいた元北朝鮮幹部によれば、北朝鮮レストランは通常、政府や党の機関によって運営されているが、中には工作員が身分を隠して工作活動をするために開店するケースもあるという。工作活動を偽装するために、店を隠れ蓑として使うのだ。

北朝鮮工作員が作戦を遂行する上で、合法的に営業を続けることができる北朝鮮レストランは、北朝鮮大使館よりも目立たずに利用できる便利な活動拠点だったとみられる。

ただ北朝鮮レストランの数は制裁などの影響で年々減少している。その上、国連安保理は制裁決議で加盟国に対し、北朝鮮からの出稼ぎ労働者の年内送還を求めている。このため、今後その数はさらに縮小することが予想される。

【執筆:FNNバンコク支局 佐々木亮】

最終更新:9/22(日) 18:02
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