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世界で早期化するプロ転向、成功への近道?【舩越園子コラム】

9/23(月) 12:20配信

ゴルフ情報ALBA.Net

米ツアーの開幕第2戦「サンダーソン・ファームズ選手権」はコロンビア出身の26歳、セバスチャン・ムニョスが昨季のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた韓国出身の21歳、イム・ソンジェをサドンデス・プレーオフで下し、初優勝を飾った。

若い2人の熱い戦いには初々しさがあふれていたが、さらなる初々しさで今大会開幕前から大きな注目を集めていた選手がいた。17歳の米国人、アクシャイ・バティアだ。

バティアは4歳年上の姉を手本に幼少時代からゴルフの腕を磨き、2人そろって数々のタイトルを獲得。姉はすでに地元ノースカロライナ州のシャーロット大学へ進学し、女子ゴルフ部で活躍中だ。

そして、世界アマチュアランキング8位に位置付けられた弟バティアは、州内の高校卒業後、大学には進学せず、すぐさまプロ転向という道を選んだ。

バティアの存在が広く世界に知られたのは、今年3月の米ツアー大会、「バルスパー選手権」にアマチュアながらスポンサー推薦を受け、出場したときだった。結果は予選落ちだったが、プロたちの中で「戦える」という実感を得たバティアは、大学進学よりプロ転向という意志をそのとき固めた。

そもそもバティアは「勉強は嫌い。教室にじっと座っているのは僕の性分に合わない。クラブを振っているほうがいい」。

父親も息子の性格や希望を踏まえ、「大学生活を4年間体験するのは素晴らしいこと。でも、我が息子にそれは当てはまらない」と考え、息子には「大学には行くな。行かなくていい」とささやき続けてきた。

息子自身も「それなら大学には行かない。そのぶんゴルフをやる」と決意し、この9月にプロ転向したのだが、それでも一抹の不安を感じていたという。

そんなとき、バティアは先週の開幕第1戦でチリ出身の20歳、ホアキン・ニーマンが米ツアー初優勝を挙げた姿をテレビで眺め、大いに勇気づけられたそうだ。ニーマンも大学には進学せずにプロ転向し、スポンサー推薦で米ツアー数試合に挑み、出場権を手に入れ、そして早々に勝利した。

今週がプロデビュー戦となったバティアは、ロッカールームでニーマンと初めて顔を合わせた。

「ホアキンとロッカールームでハグできたことは、最高の出来事だった。ホアキンもカレッジには行かずにプロになり、この米ツアーで早々に優勝した。僕らは大学に行かなくても、ここで戦えるだけの力を十分に身に付けていることが実証された。素晴らしい」

かつて、米ツアーでは4年間の大学生活と大学ゴルフをきっちり体験し、知識や教養も身に付け、人間を磨いた上でプロ転向し、米ツアーに挑むことが「順路」とされていた。

アーノルド・パーマーはウエイク・フォレスト大学、ジャック・ニクラスはオハイオ州立大学、トム・ワトソンはスタンフォード大学を卒業後にプロになり、大成した。

だが、タイガー・ウッズがスタンフォード大学を2年で切り上げてプロになり、王者になって以降は、カレッジライフを半分だけ経験してからプロになる道が「主流」になった。そして近年はジョーダン・スピースがプロ転向のタイミングをさらに早め、大学1年でプロになる若者が増えつつある。

一方、欧州ツアーではセルジオ・ガルシア、ローリー・マキロイなど高校卒業後にプロ転向した成功例が以前から多い。そんな世界の傾向も手伝って、ニーマンも、バティアも、大学進学よりプロ転向という道を選び、どんどん動き始めている。

日本では20歳の渋野日向子の活躍が日々大きく報じられ、つい昨日も国内3勝目を挙げたばかりだ。ティーンエイジの女子ゴルファーたちが「『私も大学に行ってる場合じゃない』と言って血相を変えている」と、あるインストラクターが教えてくれた。

プロ転向の早期化、若年化は世界的な傾向となりつつあり、ビッグな成功例がいくつかあるからこそ、その傾向は加速している。

しかし、焦りは禁物だ。ショートカットが必ずしも成功への近道になるとは限らない。今こそ、温かく適切な指導が求められていることを、周囲の大人たち、ゴルフ界の先人たちが自覚すべきときではないだろうか。

文 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

(撮影:GettyImages)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:9/23(月) 12:20
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