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【まるみえリポート】 消費増税 対応に追われる小売店や飲食店 「準備増えた」と悲鳴も

9/23(月) 11:00配信

伊勢新聞

 消費税率が8%から10%に引き上げられるまであと10日を切った。平成26年4月に消費税が5%から8%に変わって以来、五年半ぶりの増税となる。増税と同時に、軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元制度も導入され、価格は複雑さを極める。対応に追われる県内の小売店や飲食店からは「5%から8%に引き上げられたときよりも準備が増えた」と悲鳴も上がっている。

 前回の税率引き上げとの最も大きな違いは軽減税率が導入される点だ。家計の負担軽減を図るため、外食や酒類を除く飲食料品、定期購読の新聞の税率を据え置く。欧州などではすでに導入されている。類似商品でも税率が異なるなど適用範囲は複雑だ。

 軽減税率で価格が変わる代表例が外食産業だ。店内飲食なら10%、持ち帰りなら8%と、同じメニューでも消費者の行動で税率が変動。複数の税率を扱う事業者は、レシート発行や会計処理のために対応する新型レジに買い換え、客向けの価格表示に工夫を凝らす。

 津市内の老舗すし店は軽減税率の導入による客の混乱を防ぐため、持ち帰り用と店内飲食用のメニューをそれぞれ作り、税込み価格で記載することにした。男性店主は「消費増税は仕方ないと思うが、本音を言えば税率を統一してほしい」と困り顔。

 軽減税率が適用されるのは消費者だけでなく事業者も。仕入れ商品に軽減税率の対象となる飲食料品が含まれる場合は、やはり8%に据え置かれる。そのため、各事業者は税率が8%の仕入れ商品と10%の仕入れ商品をそれぞれ分けて帳簿に記録しなければならない。

 また、軽減税率と同じタイミングでポイント還元制度も始まる。10月から九カ月間限定で、中小の小売店や飲食店でクレジットカードなどのキャッシュレス決済で買い物をすると、支払額の最大5%が還元される。増税による消費の冷え込みを押さえるためだ。

 このポイント還元の対象店舗になるには、申請手続きが必要となる。経産省によると、今月5日現在で参加事業者は全国の対象店舗の約三割にとどまり、うち小売店が約六割を占める。県内で申請したのは6915店舗で、東海四県の中では最も少ない。

 そもそも、ポイント還元制度にはキャッシュレス決済の推進という側面もある。中小事業者にとって、手数料や運用コストがキャッシュレス決済の障壁となっていた。制度開始に合わせ、初期費用や手数料がかからないQRコード決済を導入する事業者もみられる。

 一方、これらの真新しい制度のせいでかすんでしまったのがプレミアム付商品券だ。前回の消費増税と同様に各自治体が発行するが、購入対象が三歳児未満の子育て世帯と低所得者だけと限定的で、「余計な業務を増やしたくない」と参加を見送る店舗もある。

 こうした対応に追われることを予想し、早い時期から各店舗の準備を後押ししてきた商店街も。津市の中心市街地にある丸之内商店街振興組合は3月以降、加盟店舗向けに勉強会を開催。クレジットカード決済やQRコード決済の仕組みを学ぶ機会を作ってきた。

 県内では、ポイント還元を周知するステッカーを掲げる店舗が出てきている一方で、レジの買い換えすら未着手の店舗もある。景気の下支えやキャッシュレスの普及、子育て世帯の支援など政府の打ち出す対策に果たしてどこまで対応できるのか。丸之内商店街振興組合の担当者は「自分たちの店を守らなければならない」ときっぱり。さまざまな立場の思惑が交錯する中、10月1日を迎える。

伊勢新聞

最終更新:9/23(月) 11:00
伊勢新聞

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