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軽減税率、税理士の75%「混乱起きる」 店頭でのトラブルや会計処理のミスなど懸念

9/23(月) 8:22配信

税理士ドットコム

10月からの消費税増税を前に、税理士ドットコムでは、税理士を対象としたアンケート調査を実施した。消費税を今のタイミングで増税することについては意見が割れたものの、軽減税率の導入については9割以上が反対し、75%が「混乱が起きる」と回答した。

●消費税増税については意見割れる

調査は税理士ドットコムに登録している税理士を対象にウェブ上で実施。103人から回答が寄せられた。

今のタイミングで消費税を増税すべきかを尋ねたところ、「すべき」と回答したのは35%で、43.7%が「すべきでない」、21.4%が「どちらともいえない」と回答した。

その理由を自由回答で尋ねたところ、「すべき」とした税理士からは、「財政再建のため」「今のタイミングで上げないとタイミングがない」、「すべきでない」とした税理士からは「景気に悪影響が出る」「中小企業を中心に、景気に陰りが出ている実感がある」などのコメントがあった。

●軽減税率反対の理由「線引きが複雑」がトップ

軽減税率を導入すべきかどうかについては、「すべき」としたのはわずか3.9%にとどまり、「すべきでない」が92.2%、「どちらともいえない」が3.9%だった。

「すべきでない」と回答した税理士に対して、軽減税率の問題点を複数回答で尋ねたところ、「線引きが複雑であること」が82.3%でトップ。「複数税率になること」(75%)、「対象品目が飲食料品であること」(42.7%)、「レジシステムなどに事業者が対応できていないこと」(42.7%)、「10%と8%で負担軽減の程度が低いこと」(39.6%)と続いた。

軽減税率の問題点について、自由回答で尋ねたところ、以下のような回答があった。

「複数税率による事業者側の事務処理負担が大きい。納得感のない複雑な税制は納税倫理を阻害する原因になる。そもそも低所得者対策であれば所得税の累進税率や人的控除の見直しなど他の方法で対応できる」

「公明党のアピールにしかなっていない。煩雑。なにより、給付制のような低所得者狙いうちではないので本当の意味での低所得者保護になってない。自民党も本音では困惑しているのでは?」

「EUなどでは廃止が検討されている欠陥税制なのに、なんで今更導入するのか」

「軽減税率の趣旨は低所得者対策であるが、どうせやるなら軽減ではなくゼロにするぐらいでなければ対策にならない」

「新聞がなぜ軽減税率になるかが意味不明」

「単一税率の分かりやすさを捨てるのはナンセンス。今後の基本税率アップを容易にしてしまう。複雑にすることによって『租税回避行為』も生まれやすくなる」

「飲食店で申し上げますと、お客様の混乱を防ぐために、店内飲食とテイクアウトの税込価格を同一にする方針を示しているところもありますが、それは、軽減税率の本来の趣旨に反しており、軽減税率政策の意味がないのではないでしょうか」

●「店頭での混乱、記帳での混乱、決算時の混乱」

軽減税率の導入で混乱が起きるかどうかという質問に対しては、75.7%が「起きる」と回答。「あまり起きない」が22.3%、「起きない」が1.9%だった。

予想される混乱について、自由回答で尋ねたところ、以下のような懸念の声があがった。

「まずは店頭での混乱、続いて商店の記帳での混乱、さらに会計事務所の決算時での混乱」

「飲食業や小売業の現場で、レジ打ちの従業員が税率の判定を正確に行なえず処理誤りが多発することが予想される」

「小規模の商店等は、会計処理がままならない」

「中途半端な知識を持つ顧客と事業者間での税率トラブル」

「ポイント還元などの制度に関して、事業者のみならず行政(市の担当者など)の対応もままならず、平成元年の消費税導入時に匹敵する混乱が見られます」

「店員の無知あるいはクレーマーの客により、軽減税率をめぐってトラブル(喧嘩)が発生する」

「売上で8%と10%が混在しているような業者で8%売上の割合を上げ、10%売上の割合を下げると言った不正が行われる可能性がある」

「税率を間違えて販売した場合(本来10%なのに8%で徴収)に、後日消費者から徴収するのが難しいため、小売業者が泣き寝入り」

●インボイス制度の導入については意見割れる

インボイス制度の導入については、「すべき」が36.9%、「すべきでない」が37.9%、「どちらともいえない」が25.2%で意見が割れた。

「すべき」と回答した税理士からは、「小規模事業者であろうと預かった消費税は納めるべき」、「消費税の益税が減少することのメリットがある」、「消費税申告の実務が煩雑になるのを軽減してくれるので、インボイス制度を導入すべき」、「課税仕入れの明確化のため、絶対必要。消費税導入後30年、いつまで、免税事業者は甘えているのか」などのコメントがあった。

一方、「すべきでない」と回答した税理士からは、「軽減税率を導入しなければ必要な制度ではない」、「事務作業が煩雑になり生産性が下がる。税務調査も煩雑になる」、「益税潰しと免税事業者の排除が目的だと考えざるを得ず、零細事業者に対する国の姿勢が明確に分かる制度だ」、「煩雑すぎ。税の簡便性の精神に逆行している」などのコメントがあった。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:9/23(月) 8:22
税理士ドットコム

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