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「内装業界のユニクロ」目指す福島のIT企業

9/23(月) 12:21配信

ニュースイッチ

トラストワン、内装見積もり期間を半減

 トラストワン(福島県南相馬市、森雄太最高経営責任者〈CEO〉)は、飲食店向け内装見積もりサービス「坪単(つぼたん)」を提供する。サイト内でデザインと平面パターン、広さを選ぶだけで、従来比半分以下の7週間で店舗内装の見積もりから施工までを行う。飲食店向け内装業界の常識をIT化で塗り替え、定価で早くサービスを提供する「内装業界のユニクロ」を目指す。

 地方に出店する中小規模の飲食店は、地元工務店に発注するのが一般的。この場合、「複数の事業者と打ち合わせし、工期もかかる上に、デザインも少ない中から選ばなくてはならない」(但野謙介取締役最高財務責任者〈CFO〉)と業界の課題を指摘する。

 元々店舗内装や木工家具の下請けを担っていた同社。上流工程への参入を目指し、森CEOは「内装もネットで受注する未来がくる」と予想した。ソフトウエア事業で独立していた山下敏義氏を取締役最高技術責任者(CTO)として迎え入れ、1月に「坪単」の提供を始めた。

 カフェや居酒屋などジャンルごとに複数のデザイン案を用意。デザインと平面パターン、広さを選ぶだけで、2分で見積もりを算出する。カスタマイズも可能だ。ソフトウエア開発は、山下CTOが育成したインドネシア拠点のエンジニアらが担う。パースなどの作成時間は国内の約4分の1に短縮し、開発コストも抑える。

<課題解決を支援>

 また完成イメージと平面パターン、事業計画書も即時ダウンロードできる。従来1カ月以上かかることもあった銀行への融資依頼作業が、数分で完了する。但野CFOは、「事前に金額を知ることで、想定との誤差を理解し、目安を知ることができる」と飲食店事業者の課題解決を支援する。同社は企画から施工、木製家具の製造も自社で一貫して提供。そのため、施工まで14週間かかっていた内容を、7週間に縮めることに成功した。

 2020年には1000―2000件のデザイン案の掲載を目指す。バーなど既存ジャンルのデザイン案の拡充に加え、美容室プランなどジャンルの拡大も随時進める。そのほか若手デザイナーや学生などを対象にデザイン案を募集。デザインが採用されれば報酬を得られるだけではなく、会員制交流サイト(SNS)やポートフォリオサイトで公開・共有ができ、経験にもなることからデザイナーの育成にもつながる。

<変化に前向き>

 1日500―600人がサイトを訪れる。IT化が遅れているといわれる建築業界を揺るがす仕組みだが、一部の工務店からは工事における代理店契約の要望があるなど、変化を前向きに捉える事業者も少なくない。

 今後はエアコンや照明器具などの内装機器メーカーや内装関係のベンチャー、デザイン会社など多様な業種との協業を模索する。IT化により、内装業界の可能性を広げ、新たな市場の開拓と顧客への価値の提供に挑み続ける。

日刊工業新聞・大串菜月

最終更新:9/23(月) 12:21
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