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少子高齢化で進む世代間対立、シニアモデルが橋渡し役に 韓国

9/23(月) 12:07配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【9月23日 AFP】チョ・スンファ(Choi Soon-hwa)さんは、70歳の時は生活のためだけに病院で1日20時間働いていた。だが、75歳となった今、ファッション界の花形モデルとして活躍している。

 高齢化社会を迎え世代間の対立が高まる韓国で、チョさんはほんの一握りしかいない高齢者のソーシャルメディアの有名人、ファションセレブリティーの仲間入りをした。「この年でこんな仕事に就けるなんて奇跡だ」とチョさんは話す。

 ここ5年で、世界的にファッションモデルの年齢の多様化が目立つようになった。ジャッキー・オショーネシー(Jacky O'Shaughnessy)さん、ジャン・ドビルヌーブ(Jan de Villeneuve)さん、イーロン・マスク(Elon Musk)氏の母メイ・マスク(Maye Musk)さんといった60~70代の女性たちが、ファッション界のスターとして活躍している。

 韓国最高齢のプロファッションモデルであるチョさんは、ソウルファッションウィーク(Seoul Fashion Week)への出演経験もある。介護士として長時間労働を強いられていた数年前の生活とは大違いだ。当時は、週に7日働くことも多かったという。

 韓国は高齢者の約45%が相対的貧困にあり、先進国の中で社会的セーフティーネットが最も脆弱(ぜいじゃく)な国の一つだ。

 病院で働いていた時は、患者たちが「あまりにも年寄りに見える」人に世話されるのを嫌がったため、髪を染めなければならなかった。だが、独自性を重視する若手デザイナーたちにとって、チョさんの銀髪は貴重な個性となっている。

 チョさんの夫はある日突然、チョさんと2人の子どもを残して家を出て行った。以後、フルタイムで働きながらどうにか家計を支えてきた。韓国ではシングルマザーに対して厳しい目が向けられることもある。「2人の子どもを一人で養っていた時には、同じ服を20年着ていた」と当時を振り返る。

 チョさんがモデルになったきっかけは、テレビで偶然シニアモデルについてのコマーシャルを目にし、人生を変えるチャンスだと思ったことだった。

■高齢者が奪う若者の雇用機会

 今日、韓国のファッション産業は43兆ウォン(約3兆8000億円)の市場規模となっている。だが、60歳以上の人が衣類や靴に費やす金額は1か月平均3万8000ウォン(約3300円)で、40歳未満の3分の1程度だ。

 チョさんのような高齢者セレブは、韓国の若者の心をつかみインターネット上で多くのフォロワーを獲得しており、世代間の政治的・社会的分断が広がる中、その溝を埋めるささやかな橋渡し役となっている。

 シニアモデルのキム・チルドゥ(Kim Chil-doo)さん(64)は、インスタグラム(Instagram)で約7万5000人のフォロワーがいる。ユーチューブ(YouTube)にメークのこつについての動画を投稿しているパク・マクレ(Park Mak-rye)さん(72)は、40万人以上のファンがいる。

 少子高齢化に直面している韓国では、生産年齢人口に対する高齢者の割合が上昇しており、世代間の緊張が高まっている。高齢者に対して「入れ歯をした虫」「年金生活虫」など軽蔑的な言葉が使われることも多くなっている。

 韓国の国家人権委員会(National Human Rights Commission)の調査では、19~39歳の半数以上が、高齢者の雇用創出を奨励する政策によって若者の雇用機会が奪われる恐れがあるとの不安を抱いていることが明らかになっている。

 映像は6月11日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:9/23(月) 12:07
AFPBB News

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