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池田テツヒロ 10月3日から上演の舞台『どれミゼラブル!』で演出を務める

9/23(月) 8:01配信

TOKYO HEADLINE WEB

 俳優で脚本家・演出家としても活躍する池田テツヒロが演出を手掛ける舞台『どれミゼラブル!』が10月3日から東京・銀座の博品館劇場で上演される。同作は役者を目指す若者と売れない役者たちの悲喜こもごもを描いたコメディー。いや群像劇? 池田に作品のこと、そして最近の演劇界についても聞いてみた。

池田テツヒロ「これは自分たちの話」と初めて演出家だけの仕事を受ける

 同作は2004年に初演。売れない役者たちが住む下北沢のアパートに地方から上京してきた俳優志望の若者が入居してから起こる珍騒動を描いた物語。

 池田は小劇場界で頭角を現し、その特異なキャラクターを引っさげ映像の世界にも進出。ドラマ『医龍』や『トリック』などですっかりお茶の間でもおなじみの存在となったが、若い頃はまさにこの作品の登場人物たちのような生活を送っていた。

 池田は作り手としては作・演出・出演や脚本という形で演劇に関わることが多かったのだが、今回は初めて演出のみでの参加となる。なぜ今回、この作品の演出を?

「ある作品に俳優として出させていただいた時に客席に若い人がほとんどいなくて“これは一度演劇界を立て直さないと”と思ったんです。ちょっと偉そうなんだけど(笑)。“俺たちがやってきた小劇場って終わっちゃったのかな? これは自分が面白いと思う作品を作るしかない”と思ったんです。その時に脚本家のほうが自分のイメージしている面白いものを形にしやすい。だから演出家というものにはあまり魅力は感じず、自分の脚本を形にするための手段として自分で演出もしていました。でもこの作品はちょっと別だった。脚本を読ませていただいたら、まさに僕が終わったと思っていた小劇場界のお話で“これは運命かな?”と思って、終わるにしても再出発するにしても、この作品は自分の中で大きなものになるんじゃないかと思ったんです。内容的にも自分の経験が生かせるんじゃないかなと思って、今まで避けてきた演出だけという仕事をやらせていただこうと思いました」

 初演は見た?

「DVDで見ました。すごい面白かった。エンターテインメントでエネルギッシュ。夢破れそうになっている俳優たちを描いていて、さまざまな結末が待ち受けているんだけど、バッドエンドではなくて“大丈夫だよ”という気持ちになる作品だった。初演はテンポが良くアドリブもたくさんあって、それこそ1分に1回は笑わせていたんです。それを見てしまってちょっとプレッシャーは感じてます」

 まさにかつて自分が経験したようなお話。昔を思い出す?

「自分が住んでいた下宿は小劇場の役者が3人いた。思い出すし、正直、昔の仲間でまだこういうところに住んでいる人もいるし、自分だっていつ戻るか分からない。今考えてもやっぱり変な生活だったなって思うから、この登場人物たちには“変な生活だったら負けねえよ!”ってところはある。初演はギャグでガンガン押していたけど、今回は経験者ならではのリアリティーのある見世物小屋みたいな面白さを出せるかなと思う。

 売れない役者がいるところにぼんぼん役の松本幸大君が飛び込んできて、という話なんだけど、お客さんは夢を持っている青年に自己投影するのかな? 演劇の世界に限らず今、自分があがいている人はまだ売れてない俳優側の目線で見るのかな? そこは分からないけど、とにかく自分がついつい感じてしまう悲壮感みたいなものをやめて、やはり希望を持てる形で終わらせたいと思っているのは、もしかしたら自分の願望なのかもしれない。今ちゃんとお仕事をいただいている自分でさえ、現状には全く満足していない。本当は、『表現・さわやか』のメンバーを全員売り出して、みんなが食えるようにしたかったという夢は完璧に敗れてしまっているわけだから」

 素材は演劇なのだが自分が何者にもなれないといった悩みなどを持っている人にはぐさっと刺さるところがありそう?

「今、ちょっとへこたれそうになっている人はたくさんいるんじゃないかと思うんです。こうすれば幸せになれる、ということは描けないけど、でもギリギリのところで踏ん張っていたり、夢を追っかけている姿は滑稽であり、でもそれは美しいよね、というところは描きたいかなと思います」

 出演者はジャニーズJr.、元AKB、お笑い芸人、文学座の俳優と物語の中と同様バラエティーに富んだ顔ぶれ。

「コメディーだからあくまで楽しくやりたいと思っています。特に松本幸大君と室龍太君が元気いっぱいにやってくれないとこの話は救われない。でもこの2人はちゃんと物語をけん引してくれるんじゃないかと思っています。この前、ジャニーズJr.のライブを見に行ったんですが、ファンサービスがすごく丁寧で、きっとああいう世界にも僕らが分からないような下積みのようなものがあるんだと思いました。2人にはこの作品ではある程度浮いてほしいんだけど、ある意味すごくなじむんじゃないかなとも思う。登場人物の気持ちを分かっちゃうんじゃないかなって」

 自分が脚本・演出の時は書きながら演出のことも考えているのだと思うのだが、今回はそこについてはどう対応を?

「脚本を丁寧に読むだけですね。俳優しかやっていない時はいい加減だった(笑)。よくやる俳優の間違いで自分もト書きはあんまり読んでいなかった(笑)。脚本・演出をやるようになって、“ト書きって大事なのにな…”って思うようになりました。いやもちろん全部大事なんですけど(笑)。今回は自分の作品と思い込んで読んでいますし、役者としてのスキルも動員して読んでいます。とはいえ、可児さんが思っていることを誤解しないようにとは気を付けています。もしくはいい方向に誤解しちゃえばいいんでしょうけど。自分もこれまで何度も脚本を演出家にお任せしてきました。脚本は自分の子供みたいなものですから、同じように可児さんの脚本は大事にさせていただきます。すごく大事にお子さんをお預かりする、みたいな気持ちです。でも可児さんの脚本は愛にあふれているので、その愛を損なわないようにすれば大丈夫だと思っています」

 登場人物は皆違ったバックグラウンドやキャリアを持ち、進路はいろいろと異なる。表面上展開される演劇をテーマとしたお話は笑いに満ちたものになるのだろうが、一皮むくとちょっとへこんでいる人がエールをもらえる作品になっていそうだ。
(TOKYO HEADLINE・本吉英人)

最終更新:9/23(月) 8:01
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