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新ランドローバー・ディフェンダー発表 カタチにならなかったプロジェクト

9/23(月) 14:50配信

AUTOCAR JAPAN

次期ディフェンダーを目指したプロトタイプ

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

存在そのものがランドローバー社を象徴するクルマ、初代ディフェンダー。2019年のフランクフルト・モーターショーで新モデルが発表された。以前から次期ディフェンダーはどうあるべきか、多くの議論や予想を生んできたが、社内でも広く知らされていないプロジェクトがいくつかあった。

【写真】新ディフェンダーとプロジェクト (67枚)

その中には実走行が可能なものも存在しており、実験車両の1台は英国自動車博物館に所蔵されている。偶然なのか、新しいジャガー・ランドローバー(JLR)社のゲイドンに位置する技術社屋から2kmも離れていない。

1997年に完成したライトウエイト・コンセプト・ビークル(LCV2/3)は、初期LCV2プロトタイプをもとに作られたクルマ。当時、BMWの製品開発をまとめていたヴォルフガング・ライツレ博士とのデモ走行のために仕上げられた。BMWは1990年代、ランドローバーとローバーに資金援助をしていたのだ。

LCV1はスチールをアルミニウムに置き換えただけの、軽量化させたディスカバリーだったそうだ。問題は、スチールと同じ強度を持たせるために、より重いアルミニウム製パーツも必要だったこと。

次のLCV2は、アルミニウムの押出材を用いたスペースフレームによって、400kgの軽量化を達成した。プロトタイプらしく、一見するとLCV2は従来のディフェンダーと変わらないように見える。見た目でわかる違いは、ルーフラインが僅かに低いくらい。

意外にも完成度の高い実走行モデル

LCV2/3は先代から多くの技術をそのまま継承していたが、アルミニウム製のボディパネルは丸みを帯びており空力性能も向上。量産モデルのCd値0.66に対して、0.45へと改善していた。ボディはリベットではなく、接着剤で固定。現代のJLR社の製造方法と共通しているといえなくはない。

空転している車輪にブレーキを掛け、接地しているタイヤへトラクションをかける、ロッキングデファレンシャルを模したシステムなど、現代的な技術も搭載していた。派生技術は2代目ディスカバリーに搭載され、その後すべてのSUVが同様のシステムを採用している。

ローレンジ・ギアにシンクロメッシュを搭載して走行中でも変速が可能なえるようになっており、テールライトはLED式に。スライド可能な3名がけのベンチシートも備えていた。KV6型と呼ばれたガソリンエンジンは、プロトタイプを8.8秒で静止状態から96km/hまで加速させた。

リアウインドウがきちんと取り付けられていないこと以外、完成度は高く見える。外見からはわからないが、軽量なおかげでオリジナルモデルよりもオフロード性能も優れていたという。クルマのエクステリアを見る前に開発部門を視察していたライツレ博士も、感動していただろう。

このLCVプロジェクトが素晴らしい内容だったとしても、それ以外の企業経営的な理由で、順調には進まなかった。1998年、BMWは大幅なコストカットを英国側へ要求。ランドローバーで働いていたエンジニアに対しても厳しい予算制限が求められた。当時割り当てられていた800万ポンド(10億8000万円)は満額を使えなかった。

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最終更新:9/23(月) 14:56
AUTOCAR JAPAN

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