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大久保駅から徒歩1分 台湾の香り漂うパワースポット「東京媽祖廟」とは何か

9/24(火) 21:30配信

アーバン ライフ メトロ

国際タウン大久保の新しいパワースポット

 JR大久保駅の南口から南へ徒歩1分。赤提灯が並ぶ雑多な路地に突如現れる極彩色な御殿は、東京で唯一の「媽祖廟(まそびょう)」です。媽祖廟とは何か。今回は、大久保に出現した台湾の深~い信仰の話です。

【写真】懐かしい、そしてなぜか落ち着く……都内にある路地裏の風景(14枚)

 韓流やスパイス村としてメディアでも度々取り上げられる大久保。そんな喧騒とは裏腹に、JR大久保駅南口の駅前には赤提灯が肩を寄せ合う、昭和が色濃く残った飲食街が広がりす。

 かけそば1杯220円や、ボロボロな店構えの牛スジカレー、果てはパン屋の角打ちまで。また、駅の目の前には、何年も放置された専門学校の廃校舎やラブホテルの廃墟が佇み、その光景はおよそ新宿から1駅とは思えません。

 そんな脱力系の大久保駅前に、突如6年前に現れたのが「東京媽祖廟」(新宿区百人町)です。たくさんの大小の龍と鳳凰が彫り込まれた極彩色の壁、そして巨大な白菜があしらわれた2本の柱の間に、大久保らしからぬ異空間が口を開けます。

媽祖廟とはなんぞや?

 媽祖廟……聞きなれない名称だと思います。特に台湾で篤い信仰を集める媽祖を祀った道観(どうかん。道教での寺院のような施設)で、台湾にはその数900余。信徒数は1500万人以上というから、実に台湾国民の3分の2が入信していることになります。

 媽祖廟で祀られる本尊の媽祖は、航海・漁業の守護神として中国南部の沿岸や台湾で篤く信仰されている、道教の神々のひとり。天妃娘娘、天上聖母、媽祖菩薩などの尊号でも呼ばれます。

 道教の神なのに菩薩の尊号が与えられているのは、12世紀ごろの中国で、海運の神と崇められる観音菩薩の信仰と融合し、媽祖は観音菩薩の生まれ変わりと考えられたためといわれます。

多くの海賊に信奉されていた

 道教は中国のアニミズムを発祥とし、それに神仙思想や老子の老荘思想が加わって、さらに陰陽五行思想や易などと融合しつつ複雑に発展した、中国三大宗教のひとつ。日本でいえば、神道と似たような位置付けになるのでしょうか。

 媽祖は、幼少の頃から神通力を発揮した中国・福建出身の女性で、その後仙人に導かれて神になったといわれます。また、海難事故で亡くした父を探し求めて遭難した島が媽祖島だったことから、媽祖の名前が付けられたようです。

 数え年で29歳のときに昇天した後も、海上に現れては、海難事故に遭った者たちを次々と救済したことから、航海・漁業の守護神に。特に台湾には福建から移住した開拓民が多く、航海安全を媽祖に祈り、無事に台湾へ到達できたことに感謝して、台湾にたくさんの媽祖廟を建立しました。またそのご利益から、多くの海賊に信奉されたともいわれています。

 海に囲まれた国土を持つ日本では、本来媽祖は受け入れられても良かったと思います。しかし、日本には古来より金比羅さまをはじめとした日本独自の海運の神が存在し、また船魂信仰もあったので、媽祖は受け入れられなかったようです。

 その結果、日本ではあまり馴染みがない媽祖を祀っているのは20か所くらいしかなく、そのほとんどが併設のお堂や、メインの神様とともに祀られたもの。媽祖廟として独立しているのは、この東京媽祖廟と横浜中華街の横浜媽祖廟(横浜市中区)の2か所しかありません。

 横浜の中華街は、その土地柄から媽祖廟があるのは頷けます。しかし、東京には横浜や神戸のような中華街はなく、大久保が特に台湾や中国と深い関係のある土地とも思えません。

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最終更新:9/24(火) 21:30
アーバン ライフ メトロ

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