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子どもは親のものですか?赤ちゃん学の第一人者が心配した「親目線の育児」小西行郎さんが残した言葉

9/27(金) 7:00配信

withnews

9月5日、赤ちゃん愛あふれる研究者がこの世を去りました。日本赤ちゃん学会理事長で、小児科医の小西行郎さん(享年71歳)は、読者や子育て中の記者からの疑問に、丁寧に回答を寄せてくれました。少子化で、子ども一人一人に対する大人の関わり合いが増え、ネットなどでは多くの情報が飛び交う時代。小西さんが何度も伝えていたのは、「子どもは親の思う通りにはならない」というメッセージでした。(朝日新聞記者・金澤ひかり)

【イラスト】「床ゴローン」、叱られ目をつぶる…小西さんが答えた「謎行動」

「主なやりとりはメールで」

小西さんは、1974年に京都大学医学部を卒業し小児科医として勤務。その後、福井医科大学、東京女子医科大学を経て同志社大学に赤ちゃん学研究センターを設立しました。「赤ちゃん学」創設の中心となり、心理学やロボット工学など多様な視点から、赤ちゃんを科学的に研究しました。

「イヤイヤ期の表現、なんでみんな似ているの?」や「『ごめんなさい』となかなか言えないのはなぜ?」など、子育て中の読者や記者が抱いた疑問をひもとくwithnewsの連載「乳幼児の謎行動」で、6回、回答してくださいました。

この企画に、「赤ちゃん学」に携わる小西さんの協力を仰ぎたいと、小西さんが所属する同志社大学赤ちゃん学研究センターに私が連絡をしたのは、昨年末のこと。
京都・木津川市にあるセンターに足を運ぶと、出迎えてくれたのは、小西さんのスケジュール管理などを長年担当している小野恭子さん(同センター職員)でした。
この頃、小西さんは入院されていましたが、小野さんからは「面白い企画なので協力させてほしい。やりとりは主にメールになる」と前向きな返事をいただき、企画は進み出しました。

主語は「子ども」

小野さんからの説明の通り、小西さんとはしばらくの間、メールでのやりとりを続けました。

メールで受け取る小西さんの言葉には、優しさの中に切れ味鋭いまなざしがあり、毎度うなりながらメールを読んでいました。

初めて受け取った小西さんからの回答には、こんな前置きがありました。
「今回のエピソードのすべてが2~3歳の赤ちゃんであることが大変興味深かったです。小児科の発達外来でも比較的よく聞くエピソードでもあることから、いただいた質問などは現代育児に共通するものなのかもしれませんね」

子どもの発達や子育てに向き合い続けてきた小西さんの、「現代育児」に向き合う姿勢は、その後のやりとりでも何度も感じました。

例えば「どうすれば覚えてほしい言葉を覚えてくれるでしょうか」という質問に対しては
《「最近の親は、子どもにどうにかして教えたいという気持ちが強いような気がしますが、子どもの発達にはそれなりの段階があり、それは脳神経系の成長と機能の発達によるものですから、ある程度時期によって決まっています。子どもは親の言いなりには決してならないことを覚悟したほうが良いかもしれないと思います」》

「自我」に関する質問には
《「最近は少子化などの影響から子ども一人にかかわる大人の数が増え、大人の価値観を子どもに押し付けるような傾向も見られます。さらには育児における愛着や愛情の重要性を強調するあまり、子どもが自ら学習し発達するという観点がなくなっているような気がします」》

時に辛口な小西さんのコメントでしたが、親の視点で終始しがちな、子育て中の私たちの心に、「子どもはどう思うんだろう?」といった「主語を子どもにする」くさびを打ち込み続けてくれていたような気がします。

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最終更新:9/27(金) 7:00
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