ここから本文です

日本は主権国家といえるのか? 米軍優位の日米地位協定・日米合同委員会と横田空域(20)立憲主義を空洞化(吉田敏浩)

9/26(木) 11:41配信

アジアプレス・ネットワーク

◆「安保法体系」と「密約体系」を運用するための裏マニュアル

本連載で述べてきたように、国家の中枢である外務省、法務省、最高裁判所で、米軍優位の「安保法体系」と「密約体系」を運用するための裏マニュアルがつくられ、使われてきている。

【関連写真を見る】日本は主権国家といえるのか?(8枚)

外務省機密文書『日米地位協定の考え方・増補版』、法務省刑事局秘密資料『合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料』、最高裁部外秘資料『日米行政協定に伴う民事及び刑事特別法関係資料』などである。

それらの裏マニュアルの内容が示しているように、日米合同委員会を拠点にした外務官僚や法務官僚などが、米軍の特権を守るために地位協定の解釈を独占するかたちで、地位協定や関係法令の拡大解釈あるいは歪曲解釈をし、密約も交わしているのである。

憲法前文は、「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と定め、「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務」を普遍的な法則だと強調している。

ところが、日米合同委員会の日本側メンバーである高級官僚たちは、主権侵害をもたらし、国家間の対等関係を損なう米軍の特権を認める合意を、主権者である国民の目の届かない密室で結んでいる。

憲法前文には、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民が享受する」とある。

「国民の代表者」とは、「正当に選挙された国会における代表者」すなわち国会議員のことである。

その主権者の代表である国会議員から成り、憲法第41条で「国権の最高機関」と定められた国会に対して、日米合同委員会の議事録も合意文書も公開せず、秘密にしているのは、「国政は国民の厳粛な信託によるもの――」という憲法の原理に反している。

そもそも日米合同委員会の日本側メンバーは、代表の外務省北米局長をはじめ全員が、憲法第99条により「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定められている国家公務員なのである。
当然、憲法に従って職務をおこなわなければならない。

ところが、かれら高級官僚たちは、「安保法体系」と「密約体系」と一体化するかのように、憲法による「法の支配」に服さず、憲法の国民主権の原理から逸脱して、「法の支配」の枠外に出てしまっている。

立憲主義を空洞化させている。
 
国民の信託による国政であるためには、日米合同委員会の合意の全容の情報公開が必要である。

それらの合意が主権や憲法で保障された基本的人権を侵害していないのかどうかを、国会議員や国民・市民がチェックできてはじめて、それが「国民の厳粛な信託」による国政なのかどうかを判断できる。

もちろん、主権や基本的人権を侵害する内容では、「国民の厳粛な信託」による国政にはなりえない。

憲法第98条では、「憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と定められている。

だから、日米合同委員会の「いわば実施細則」に過ぎない「航空交通管制に関する合意」に、航空法を超える効力を持たせ、「日米両政府を拘束する」と拡大解釈して、米軍の特権を認める行為は、まさに国の最高法規である憲法に反する「国務に関するその他の行為」にあたり、本来なら「その効力を有しない」はずなのである。(つづく)

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

最終更新:10/10(木) 17:28
アジアプレス・ネットワーク

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事