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<深層・佐賀豪雨>ボランティアセンター 全国から応援続々も不慣れで手配ミス

9/26(木) 11:12配信

佐賀新聞

 雨の中、かっぱを着て道端に立ち尽くす人たち。一人の男性が「いったん、センターに戻りましょう」と呼び掛けると、周りからため息が漏れた。一行がボランティアセンターを出て1時間。「この時間がもったいない」とこぼしながら来た道を歩いて引き返した。

 8月末の記録的豪雨から2度目の週末、武雄市では大勢のボランティアが活動したが、一つの被災者宅に複数のグループを派遣したり、間違った住所を教えたりするなどセンターの手配ミスが相次いだ。一方で、被災した一人暮らしの高齢者は、午前中に来るはずのボランティアを午後になっても玄関先で待っていた。

 ほかにも送迎車や必要な道具が足りないなど不手際が目立ち、各地で災害ボランティアを経験した男性は苦笑いして言った。「センターがうまく機能していないみたいだね」

 今回、県内5市町でボランティアセンターが設置、いずれも各市町の社会福祉協議会が運営主体となった。過去の大きな災害でもボランティアの取りまとめ役は地元の社協が担ってきたが、ある職員は吐露する。

 「研修は受けてきたけど、自分たちが主体になる心構えまではできていなかった。佐賀は災害が少ない地域だから…」。県社協によると、過去に県内で災害ボランティアセンターが設置されたのは、2004年の佐賀市の竜巻被害や昨年の三養基郡基山町の豪雨被害など計5回しかない。

 佐賀豪雨では、5市町のセンターがこれまでに延べ1万人を超えるボランティアを受け入れ、武雄市が半数、杵島郡大町町が4分の1を占めた。両市町には、経験豊富なスタッフが県内外から多数駆け付けたが、初期対応はばたついた。

 センターの運営に厳しい声があることについて、市町社協に助言する立場の県社協の内田圭二まちづくり課長は「災害によって支援の在り方は変わっていくので、マニュアルや過去の経験がそのまま生かせる訳ではない。実情に応じて手探りで日々最善を尽くしている」と理解を求める。

 被災地では、独自で活動するボランティア団体もあり、社協の手が回らない部分を補う役割を果たす。

 武雄市では地元有志らが第2のボランティアセンターを立ち上げ、社協の定員にあぶれたボランティアの受け皿となった。25日までに延べ約1900人を受け入れ、SOSを出しにくい被災者のニーズの掘り起こしに力を入れる。大町町では、一般社団法人「オープンジャパン」(宮城県)が油被害の集中する下潟地区に拠点を構え、社協と連携しながら支援に当たる。

 被災地の復旧復興に欠かせない存在となったボランティア。今回は全国から大勢が駆け付けた県内初のケースで、ボランティアセンターの重要性が多くの関係者に認識された。

 「何も分からない状態でセンターを立ち上げたが、経験豊富な応援の職員やボランティアに助けられた。災害対応では経験がものをいうことを痛感した」と大町町社協の千々岩正博事務局長。この経験を教訓化し広く共有していくことも、今後の大切な役割になっていく。

最終更新:9/26(木) 11:12
佐賀新聞

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