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花粉症薬が保険適用外論議、背景にもっと深刻な2022年危機

9/27(金) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「花粉症の薬が保険適用から外されるかもしれない」と、話題になっている。

健康保険組合連合会が診療報酬改定に向けて、花粉症薬の保険適用見直しを提言したからだ。健保連によれば、これにより、約600億円の医療費削減が見込めるという。

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「医者で処方される薬よりも、市販薬を購入すると高くなるから、家計が苦しくなるのではないか」という懸念を抱く人も多いが、一方で「これから後期高齢者が増え、医療費が増えていく。財源は限られているのだから、有効に使うべきだ」という論調もあり、意見は二分している。

実際のところはどうなのか、医師である筆者が検証してみた。

現役世代の負担が急上昇する「2022年危機」

健保連の提言書では、今回の提言の根拠として「2022年危機」が強調されている。2022年とは、「団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に達しはじめる時期」であり、現役世代の高齢者医療に対する負担が急激に増大する時期と考えられている。

健保連は全国の健康保険組合が加入してできた組織で、ここ数年で健保組合の解散が相次ぎ(2018年度は2番目に大きな健康保険組合の解散もあった)、危機感を募らせているようだ。

2019年度の健康、介護、年金をあわせた平均保険料率は29.1%(健康保険のみであれば9.2%)だが、2022年には平均30%(健康保険のみであれば9.8%)を超えると予測されている。

また2022年は後期高齢者が増え続ける一方で、現役世代だけでなく、前期高齢者(65-74歳)も減少に転じる年でもある。後期高齢者以外の人口減少の影響は、非常に深刻だ。保険料の面では、前期高齢者にかかる医療費は減るだろうが、労働可能な比較的若い高齢者も減少していき、医療が必要になる後期高齢者が増加の一途をたどるからだ。

高齢者の増加につれて医療費はそれ以後も上昇を続け、2040年には、約70兆円に達する(現在は約42兆円)見込みだ(厚生労働省)。 また、若年層から高齢者への医療保険制度を通した「仕送り」は、年々増加傾向だ。

グラフから読み取れるのは、2009年に比べて2016年は、例えば30-34歳の1人の年当たり保険料負担は4.6万円増えているが、75歳以上では負担増は多くても1万円程度だということ。高齢者の年間医療費の上昇は約5万円を超えているので、高齢者1人当たりの自己負担はむしろ減っている。

こういった流れを受けて健保連は、「全世代型の社会保障へ移行が直ちに必要である」との観点から、後期高齢者の原則2割負担(現在は1割負担)や、花粉症治療薬の保険適用をやめることを提言した。

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最終更新:9/27(金) 23:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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