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鷗外、白秋、牧水を追って10万キロ 「九州文学散歩」野田宇太郎【あの名作その時代シリーズ】

10/1(火) 18:00配信 有料

西日本新聞

野田が育った小郡の地には今も緑豊かな自然が残る

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は07年7月29日付のものです。

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 戦争の傷跡がまだ残る一九五〇年、野田宇太郎は「文学散歩」の旅に出かけた。作品と資料を読み込み、文学者ゆかりの地を訪ね、当時を知る人から話を聞き、作品を生んだ風土を肌で知る。旅は北海道から沖縄におよび、遠くヨーロッパに足を運んだこともある。病床に伏すまでの三十四年間、移動距離にして延べ十万キロを超える旅を続け、ライフワークとして出版を重ねた文学散歩シリーズは、二十六巻(文一出版)にまとめられた。中で、多くの研究者が白眉と認めるのが、野田が敬愛した作家、森鷗外、北原白秋、若山牧水などを取り上げた九州文学散歩(全三巻)である。

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 〈白秋の思い出に連なる筑後路から肥後路は、(中略)その中に、白秋の心もあると信ずる一種の幸福感〉。野田は白秋の母の里・熊本県南関へと向かうバスの中で、沸き立つ気持ちをこう綴(つづ)っている。

 文学散歩は単なる作品解説でも、ましてや文学的観光ガイドでもない。「野田は生涯『詩人』を自らの肩書としています。文学散歩はあくまで詩人の感性と文学観で書かれたものです」と福岡女学院大学名誉教授の原武哲さん(75)=近代文学=は語る。「作者の息遣い、鼓動を感じたいという気持ちがあったはずです」 本文:2,592文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:10/1(火) 18:00
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