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日本は主権国家といえるのか? 米軍優位の日米地位協定・日米合同委員会と横田空域(最終回) 日米地位協定の改定と日米合同委員会の廃止に向けて(吉田敏浩)

10/1(火) 11:41配信

アジアプレス・ネットワーク

◆駐留外国軍隊への国内法の原則適用は国際常識

米軍という外国軍隊により主権が侵害され、そして憲法で保障された人権も侵害されている。

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故翁長雄志前沖縄県知事が米軍基地による被害に苦しむ沖縄の状況を踏まえて発した、「日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」という言葉どおりの現実が、沖縄だけでなく日本全体を覆っている。

安倍内閣は、山本太郎参院議員の質問主意書への答弁書(2017年)で、日米合同委員会の合意は「地位協定の実施の細則を定める取り決めであることから、その内容について国会の承認を得る必要があるとは考えていない」と答弁した。

だが、そうであってはならないはずだ。
横田空域のような外国軍隊の手に委ねる空域の存在を許さず、米軍機の訓練飛行にも制限を加えているドイツやイタリアのように、現状を改めていくのが望ましい。

2018年7月、各都道府県の知事から成る全国知事会は、初めて地位協定の抜本的見直しを求める提言を、全会一致で採択し、政府にも要請した。

その「米軍基地負担に関する提言」では、地位協定は「国内法の適用や自治体の基地立入権がない」など、日本にとって主権の確立が「十分とは言えない現況」だと指摘した上で、こう求めている。

「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」

米軍に対し必要な規制をかけて人権侵害などを防ぐためには、地位協定を抜本的に改定し、基地の運営などに「必要なすべての措置をとれる」米軍の排他的管理権を見直すなど、米軍への国内法の原則適用を明記する必要がある。

しかし、日本政府は改定に後ろ向きだ。
「運用の改善」と称する小手先の対応ばかりで、米軍の特権を見直す姿勢はない。

しかも、駐留外国軍隊には特別の取決めがない限り受け入れ国の法令は適用されない、との見解を示す。これでは規制のかけようがない。

だが、駐留外国軍隊への国内法の原則適用は、実は国際的な常識なのである。

沖縄県がドイツ、イタリア、ベルギー、イギリスに調査団を送り、日米地位協定と比較してまとめた「他国地位協定調査報告書(欧州編)」(2019年)によると、各国では米軍に対し航空法や環境法令、騒音に関する法令など国内法を原則適用している。

低空飛行訓練も高度、飛行時間、訓練区域などに関し規制をかけている。

横田空域のような米軍が航空管制をして管理する空域もない。

米軍基地の排他的管理権も認めず、受入れ国の軍や自治体などの当局者の立入り権も保障されている。

日本とは異なり、「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立、米軍の活動をコントロール」(「他国地位協定調査報告書(欧州編)」)しているのだ。

報告書は沖縄県のホームページに載っており、より広く知られてほしい。
それは地位協定の抜本的改定に向けた世論の広がりにもつながるだろう。

前述の全国知事会の提言を受けて、地方議会にも地位協定の改定などを求める意見書が出され、決議されている。

市民団体「安保破棄中央実行委員会」によると、2019年8月末の時点で、北海道・岩手・長野など7つの道県議会と札幌市・長野市など153の市町村議会で、こうした意見書が決議されている。

このような各地域での取り組みの広がりも重要だ。

ジャーナリズムが地位協定の問題点をさらに掘り下げ、地位協定の不平等構造を裏で支える日米合同委員会の密約など隠された事実も暴露しながら、抜本的改定の必要性を訴えてゆくことが望まれる。

地位協定の抜本的見直しとともに、米軍の特権を生み出す日米合同委員会の秘密の合意システムを廃止し、地位協定の解釈・運用を国権の最高機関である国会の管理下に置くべきである。

「航空管制委任密約」など米軍に有利な様々な密約の廃棄と、横田空域・岩国空域の全面返還もむろん必要である。

日本の空を米軍の戦争の訓練に利用させず、真に日本の空といえるためにも。
(おわり)
                                        
*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

最終更新:10/10(木) 17:25
アジアプレス・ネットワーク

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