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伊丹ナイフ男、羽田も見逃しジャカルタへ 8600人超に影響

10/2(水) 18:55配信

Aviation Wire

 9月26日に伊丹空港の保安検査場でナイフを所持した男性客を、全日本空輸(ANA/NH)から委託を受けた警備会社「にしけい」(福岡市)の係員が通過させた問題で、ANAは10月2日、男が羽田空港で同社の国際線に乗り継ぎ、インドネシアのジャカルタに到着し、1日に帰国していたことを明らかにした。この影響で26日は国内線71便に欠航や遅延が生じ、8653人に影響が出た。男が搭乗した便で、乗客乗員のけがやハイジャック等の事件は発生しなかった。

◆搭乗便の機内探すも見逃す

 ANAによると、男が機内に持ち込んだのは折りたたみ式多機能ナイフで、刃渡りや大きさは明らかにしていない。26日午前6時50分ごろ、伊丹空港の南北にある保安検査場のうち、南ターミナルでマイレージ上級会員や上級クラス客が利用できる「ANAプレミアム保安検査場」で、にしけいの係員がX線検査と開披(かいひ)検査で男の手荷物からナイフを発見したが、男から機内に持ち込んで問題ない旨の説明を受け、保安検査を通過させた。

 保安検査場では、にしけいの検査責任者が担当係員に対し、受託手荷物として預けるか、その場で破棄するかを男に確認するように指示したが、係員が指示を誤認して通過させたという。その後、午前7時5分ににしけいからANAに発生連絡が入った。係員は午前7時10分ごろから、男がラウンジへ向かったと考えて館内を探したが見つからず、ラウンジを閉鎖して館内にいた乗客全員の再検査を実施した。

 担当した係員は男が羽田行きに搭乗予定だったと記憶していたことから、伊丹午前7時30分発予定の羽田行きNH14便(ボーイング777-200ER型機、登録記号JA716A)の機内を探したが発見できなかった。ANAによると、男がこの便で羽田に向かったことをその後確認できたという。NH14便は定刻より25分遅れの午前7時55分に男を含む乗客340人(幼児1人含む)を乗せ伊丹を出発した。

 午前8時12分からは、伊丹午前8時発予定の羽田行きNH16便の搭乗口で、にしけいの係員とANAの地上係員が乗客ひとり一人の顔を目視確認したが、男はNH14便で羽田へ向かった後だったため、発見できなかった。午前9時からは、伊丹午前9時発予定の羽田行きNH18便の乗客全員に対する再検査を実施したが発見できなかった。男が乗ったNH14便は、定刻より18分遅れの午前9時3分に羽田へ到着している。

 その後は、出発便搭乗口の安全を確認する「クリーン化検査」をにしけいとターミナルを管理する関西エアポート、ANA、警察で目視により午前11時15分から実施し、午前11時44分に検査が完了。午後0時4分に保安検査を再開し、再開後最初の便となった伊丹発札幌行きNH773便が午後1時9分に出発した。

◆ナイフ男、ジャカルタへ

 ナイフを所持した男はNH14便で羽田到着後、26日午前9時35分ごろ国際線ターミナルの中央保安検査場で保安検査を受けたが、ANAから委託を受けている警備会社「ジェイ・エス・エス(JSS)」のX線検査装置モニター担当者は手荷物のX線画像を確認したものの、ナイフを発見できなかった。伊丹では男にナイフを返却していたものの、X線検査と開披検査でナイフを発見していた。JSSは警察官僚出身の亀井静香前衆院議員(広島6区)が会長を務めている。

 男は羽田発ジャカルタ行きNH855便(787-9、JA882A)に搭乗し、定刻より7分遅れの午前10時22分に出発し、ジャカルタには19分遅れの現地時間26日午後4時4分(日本時間午後6時4分)に到着した。NH855便には男を含む乗客180人(幼児1人含む)が乗っていた。ANAは29日に男を特定し、30日夜にジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港で現地係員が男と接触。10月1日、この情報を基に男が伊丹空港でナイフを機内に持ち込んだ男と同一人物だと断定した。

 男は現地時間30日午後9時27分にジャカルタを出発したNH856便(787-9、JA897A)で羽田へ向かい、翌10月1日午前6時48分に到着。羽田発伊丹行きNH17便(777-200ER、JA709A)に乗り継ぎ、同日午前8時59分に出発し、伊丹には午前10時6分に着いた。ジャカルタを出発する際、男のナイフは受託手荷物として預けられており、機内には持ち込まれていない。

 この影響で、26日は伊丹発着28便と機材繰りなどによる4便の国内線32便が欠航し、3666人に影響が出た。遅延便も国内線で43便発生し、4987人に迷惑がかかった。伊丹発着便の遅延は1時間を超えた。

 航空法第86条では、刃物をはじめとする危険物の機内への持ち込みを原則禁止している。ANAは全就航空港とすべての委託先警備会社に対し、内容と重大性の周知や緊急連絡体制の再点検、疑いがある場合の再検査徹底などを指示している。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:10/2(水) 21:32
Aviation Wire

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