ここから本文です

地方都市で考える「食の未来」と「培養肉」

10/3(木) 13:07配信

サイエンスポータル

 「培養肉」は世界的に人口の増加が続き、将来世代における食肉の供給不足も予想される中で新しい代替タンパク源として注目されている。その培養肉を一般市民の手で生産しようとしているサークルのメンバーを招いたサイエンスカフェが8月18日、北海道の函館市で開かれた。先端技術を用いた食糧生産と、それが実現する社会について地方都市を舞台に考える取り組みを追った。

 今回訪れた「培養肉カフェ」は、函館市とその周辺地域を会場とする「はこだて国際科学祭」の一環として開催された。話題提供者の田中雄喜(たなか ゆうき)さんが函館市に隣接する七飯町出身という縁で企画が実現した。田中さんは東京大学大学院で生命科学を専攻するかたわら、一般市民の手で食用に耐える培養肉を作ろうという「Shojinmeat Project(ショウジンミート・プロジェクト)」に参加している。

 この有志団体の目的は、一般市民の手で培養肉の生産を実践し、そのことを通じて将来の食を支えうる科学技術への意識を高めることだという。田中さんをはじめ、高校生や会社員、専門の研究者からアーティストなど、多様なメンバーがそれぞれの興味や関心に合わせて幅広い活動に参加している。その内容も、細胞の培養実験からメディアでの情報発信、高校生を対象とした出前授業まで幅広い。サイエンスカフェは、培養肉開発の現状とショウジンミート・プロジェクトによる実践活動の両方を、質疑応答を挟みながら紹介する形式で行われた。

「細胞農業』としての培養肉開発とその課題

 現在行われている培養肉生産の試みは、「細胞農業」と呼ばれる食糧生産法の一つに位置付けられる。細胞農業とは、生物の体を構成する細胞を使ってこれまで農・畜産業を通して生産されていた肉や皮革製品、ゼラチンなどの有用物質を作ろうとする取り組みのことをいう。ここでいう「肉」とは、特定の形状や役割を持つ細胞が増えてできる「組織」がさらにより集まったものだ。細胞や組織を生物の体外で人工的に増やす技術が「培養」であり、これは生命科学の分野で一般的な実験手法として用いられている。

1/5ページ

最終更新:10/3(木) 13:07
サイエンスポータル

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事