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オリンピックの裏側を覗いてみた 巨大なスポンサーが生み出す現実

10/3(木) 7:11配信

VICTORY

■なにかとがんじがらめのスポンサー

東京オリンピックまで1年をきり、テレビやインターネットで盛んに宣伝されるオリンピックのチケットプレゼント。多いものでは1万2020枚、ほかにも2020枚、1000枚、100枚、50枚とたくさんの企業がプラチナチケットをぶらさげて宣伝を繰り返している。こうしたチケットをつかったプロモーションは、もちろんどんな企業でもできるものではない。ワールドワイドオリンピックパートナーと呼ばれるIOCのスポンサー、そしてゴールドやオフィシャルという呼び名で区分けされる東京大会のスポンサーに限られているのだ。

■ワールドワイドオリンピックパートナーって

コカ・コーラ、オメガ、インテル、VISAと世界的な大企業が名を連ねるIOCのトップスポンサー集団。これがワールドワイドオリンピックパートナーだ。現在このカテゴリーにある企業は13社。ここにブリジストン、パナソニック、そしてトヨタと日本を代表する3つの企業が所属している。そう考えれば、東京でオリンピックが開かれるのは至極もっともなことだというのがご理解いただけるかもしれない。

それはさておき、今年6月、このワールドワイドオリンピックパートナーをめぐって衝撃的なニュースが飛び込んできた。コカ・コーラが中国大手乳製品メーカー蒙牛乳業と組んで2021年から2032年まで契約を延長するというものだ。衝撃は中国企業が入るのか、というところではない。実はすでに中国の通販企業アリババグループはすでにこのカテゴリーのスポンサーになっているからだ。

世界を驚かせたのは、12年総額3200億円という莫大なスポンサー料だ。IOCもパートナー企業も契約に秘匿条項があるため公式には一切金額は発表されていないが、関係者の話として伝えられたこの金額はスポーツマーケティングの膨張を象徴する数字となった。

■IOCの巧みな戦略

なぜここまで金額が膨れあがるのか、そこにはIOCの巧みな戦略がある。

ことし5月、東京オリンピックを前に新国立競技場の脇に日本の新しいスポーツの司令塔とも言うべき建物が誕生した。「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」。五輪ミュージアムも併設し、JOC=日本オリンピック委員会や日本スポーツ協会をはじめ、各競技団体が入る最前線基地だ。

同じ頃、スイスのローザンヌにも新たな建物が完成していた。IOC=国際オリンピック委員会の新本部会館。広い吹き抜けのスペースを贅沢に使った不揃いのらせん階段。1階から見上げると、階段が五輪のマークを作り出している近代的な建物だ。およそ160億円をかけて建設された、まさに世界のスポーツの最前線基地といっていい建物だ。新会館の完成でこれまで4カ所にわかれていた各部署が1つにまとまることになった。そのひとつがスポンサー企業のカウンターパートとなるマーケティング部門だ。

コカ・コーラが蒙牛乳業と組んで3200億円もの莫大なスポンサー契約を結んだのには大きく分けて2つの理由があるからだ。一つ目は、五輪マークの使用権や広告利用など、トップスポンサーに与えられる広告価値だ。そのなかにスポンサーチケットと呼ばれる観戦チケットも含まれる。スポンサーに与えられる当然の権利といえばそれまでだが、次の理由がその価値を大いに高めるのだ。その2つ目の理由が1業態1社に限るという厳格なルールだ。先に述べたコカ・コーラと蒙牛乳業は、ノンアルコール飲料のカテゴリーで唯一のトップスポンサーだ(蒙牛乳業は2021年から)。ということはペプシもキリンもアサヒも、このカテゴリーでは五輪を使った広告は一切できないと言うことになる。これは広告だけではない。会場で販売されるのはコカ・コーラ社製品だけ。それ以外の製品が会場にあってはまずいから、飲料は一切持ち込み禁止になる。会場で買うしかない。しかもコカ・コーラ社製だけをだ。車であればトヨタである。すなわち五輪会場で使われる車はトヨタ。CMでオリンピックを活用できるのもトヨタだけ。ベンツもBMWもホンダもなしだ。

そしてこの権利を守るためにIOCには有能な法務部門がある。世界の至る所でIOCの権利(スポンサーに販売している形の商標など)が侵害されていないか、わかりやすく言えば勝手に使われていないかチェックし、悪質なものは訴訟へと発展する。こうして巨大なスポーツマーケットが育っていったのだ。

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最終更新:10/3(木) 7:11
VICTORY

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