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謝り過ぎるトルドー首相に国民うんざり、欧米の政財界人に見る謝罪の美学

10/5(土) 11:34配信

The Telegraph

【記者:Sean O'Meara】
 申し訳ないが、最近、私たちは謝罪ばかりしていることにお気付きだろうか? セレブや政治家、最高経営責任者(CEO)、ツイッターにアカウントを持つブランド、さらには一般市民に至るまで、誰もが問題が起きると即座に謝罪している。たとえまったく謝罪の気持ちがない場合であってもだ。

 先日の一件はその好例だろう。グーグルに「謝罪」という言葉を打ち込むと、20代の頃に顔を黒く塗る「ブラックフェース」のメークをしたことを謝罪したカナダのジャスティン・トルドー首相が出てくる。

 米コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」に起用されたばかりのコメディアンは、過去の人種差別的なジョークを批判されて謝罪し、その後解雇された。また、英ガーディアン紙は論説の中で、デービッド・キャメロン英元首相は息子の死に関して「特権階級的な苦しみ」しか感じていないと批判したことを謝罪した。そのキャメロン氏も、欧州連合(EU)からの離脱の是非をめぐる国民投票を実施したことについてメディア各社に「おわび行脚」をしたが、はっきりと謝罪したわけではなかった。

 そして、トルドー首相だ。改めて謝罪し、繰り返し何度も謝罪している。この記事が読まれる頃には、さらに謝罪しているかもしれない。わずか1週間のうちに起きたことだが、これですべてではない。今年に入り、著名人や有名企業が少なくとも1日に1回は謝罪している。

 トルドー氏は、私とキャリー・クーパー氏が「アポロジー・インパルス(「謝罪の衝動」の意)」を共同で執筆する際に発見した数々の事例の一つに当てはまる。トルドー氏は2015年に首相に就任して以降、歴史問題をめぐり歴代のどの首相よりも多く公式に謝罪しているが、たびたび謝り過ぎて、その効果を弱めてしまっているようにみえる。カナダ人作家のリンダ・ベスナー氏が昨年、「カナダで最も謝罪する首相が国民のかんに障っている」と指摘したのもうなずける。

 今回の件について謝罪すべきでないと言うつもりはないが、トルドー氏は謝罪し過ぎだ。個人として、あるいはカナダ人を代表して、あらゆる事柄について謝り、悲しげな表情をすることに国民は慣れてしまっている。総選挙を前に、トルドー氏は国民から真剣に自分の話に耳を傾けてもらう必要があり、自身の再選を妨げかねない事柄についてはきちんと謝罪しなければならない。しかし、トルドー氏はもはや愛想を尽かされ、「反省」というカードも底を突いている。謝罪はもはや以前のような効果を持たない。

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最終更新:10/5(土) 11:53
The Telegraph

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