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航空計測で森林再生 ふたば(富岡) 父の言葉が後押し

10/7(月) 8:29配信

福島民報

 東日本大震災の津波や東京電力福島第一原発事故で被害を受けた富岡町小浜地区。建設コンサルタント業「ふたば」の会議室で、遠藤秀文(しゅうぶん)社長(48)が小型無人機(ドローン)を前に社員に語り掛けた。「古里をどう良くしていくかを考えるのが、帰還した会社の使命だ」

 ふたばは一九七一(昭和四十六)年、秀文氏の父で元富岡町長の勝也氏=二〇一四(平成二十六)年に七十四歳で死去=が、農業土木測量会社として創業した。地域に根差した会社として社業を拡大した。

 秀文氏は双葉高から東海大海洋学部に進学。大学卒業後、東京都の大手建設コンサルタント会社に入社した。「将来は富岡に戻り、古里の役に立つ」と決めていた。政府開発援助(ODA)の調査業務などを担当し、海外を渡り歩いた。二〇〇七年、三十五歳でふたば専務として帰郷した。技術分野では最高権威の国家資格「技術士」を取得した。

 二〇一一年三月十一日。富岡町の本社で激しい揺れに襲われた。「津波が来る」と直感した。社員二十一人は全員無事だった。しかし、妻の実家がある岐阜県に避難した秀文氏をはじめ、社員は原発事故の影響で離散を余儀なくされた。

 会社を継続できるのか-。当時、町長として災害対応の陣頭指揮を執っていた勝也氏が背中を押してくれた。震災発生から四日後につながった電話で「今の会社があるのは地域の支えのおかげ。古里で会社を再開し恩返ししなさい」と言われ、覚悟を決めた。

 二〇一一年四月に郡山市の仮本社で事業を再開した。二〇一三年に社長に就任すると、「義理を優先し、利益は後回し」を意味する先義後利(せんぎこうり)を社是にした。二〇一七年八月、避難指示が解除された富岡町小浜地区に本社を再建した。

 住民帰還には、農業や森林の再生が不可欠と考えている。二〇一七年度、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の重点分野で技術開発に取り組む企業を支援する県の「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」に採択された。昨年度まで日大工学部と連携して実証研究に取り組んだ。

 ドローンにレーザーや赤外線カメラ、放射線計測器を装着し、双葉郡内に広がる森林の地形や樹木の高さ、放射線分布状況を詳細に計測・分析した。森林の効果的な除染や間伐に役立ててもらうため近隣町村に分析結果を提供し、学会でも発表した。今後、計測・分析技術を農地の再生事業にも生かす考えだ。

 秀文氏は、地域の課題解決に貢献する「社会コンサルタント業」を目指している。「複合災害を経験した福島だからこそ、成し遂げられる技術開発がある。古里復興のために汗を流したい」と未来を見据えた。

最終更新:10/7(月) 8:29
福島民報

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