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倒産寸前で「もうしんどい、限界だ」と弱音を吐いたら、逆に業績が回復した

10/8(火) 14:00配信

新R25

ビジネスの世界においては「合理的な思考」こそが正とされ、個人的な「感情」は二の次にされることがほとんど。

しかし、『八月のシンデレラナイン』をはじめとしたヒットゲームを次々と世に送り出しているアカツキ社のCEO・塩田元規さんは「これからの時代は、ハートやつながりといった目に見えない“内面”が中心になる」と主張しています。

アカツキの売上高は281億円。塩田さん自身がまさに、「感情」を優先するマネジメントでも成果を上げられる、と証明しています。

そんな塩田さんが自身の人生から導き出した哲学を書き記したのが書籍『ハートドリブン』。

同書から、アカツキの成長を支える独自哲学をお届けします。

心も体も会社も壊れる寸前までいった

順調に見えたアカツキ3期目に、僕は大きな失敗をしてしまう。自分の人生の中で、最も苦しい1年だったと思う。

その頃、ゲームの市場環境はガラケーのモバイルゲームから、スマホのモバイルアプリゲームにシフトしていた時期で、僕らアカツキはその市場の変化に賭けて大きな投資をしていた。

その中で、組織の悪化と大きな損失が生まれて、初めて、キャッシュがなくなる可能性が現実的になってきた。僕らは約5億円の借入をして、僕個人がそのうち3億円の連帯保証人になった。

「5億円を返済するのはすごい大変だ。これで、事業が失敗したら、3億円が僕個人の借金だ。失敗したら、本気で首を吊る可能性すらあるな」と、初めて倒産と自分の死がリアルに頭に浮かんだ。
 
悪いことはまだまだ続く。

この年、創業1年目にジョインしてくれたメンバー8人のうち4人がアカツキを退職した。

立ち上げ当初は狭いオフィスで雑魚寝して、まさに同じ釜の飯を食べていたけど、人が増え20~30人規模になってくると、どうしてもお互いの距離ができてしまう。

彼らは僕と哲朗(アカツキ創業者・香田哲朗さん)のことが好きで、僕らが困っているから助けに来てくれたメンバーだった。

だから、僕と距離が離れていくと、とにかく寂しくなっていったけれども、当時のアカツキは、寂しいという感情を表現できる空気ではなかった。

ポジティブな感情はシェアできるけど、ネガティブな感情はまだシェアしにくい空気だったと思う。そして僕にもそれを許す器がなかった。

だから、僕自身も辞めていくメンバーの感情に気づかなかった。

仲の良かったメンバーが離れていって、組織の雰囲気もどんどん悪くなって、会社のキャッシュもやばい。自分が大切にしようと頑張ったものが、どんどん壊れていく。

なんとかしようと必死でもがくけど、どうしていいのかわからない。
 
本当に闇の中にいるようだった。

僕の体も限界に来ていて、会社で椅子に座っている時も、ずっと心臓が痛かった。

常に下痢で、病院でもらった一番強い下痢止めの薬を飲んでも止まらなかったし、夜中に家に帰るとストレスで一人で泣きながら吐いていた。

思考は嘘がつけるけど、体には全てが表れていた。

僕はこんな時こそポジティブシンキングしかないと必死に思い込み、「ピンチはチャンス」と言い続けた。自分自身にも、メンバーにも言い続けた。

僕もメンバーも、なんとか無理やりにでもモチベーションを上げようとしていた。

自分も人も言葉でコントロールしようとしていた。

それは、悲しみ、つらさという感情を切り離すことだった。

だけど、心の奥底にいる小さな僕は叫んでいた。「もう限界だ、これ以上は無理だ。背負えない。助けてくれ」と。
 
僕の思考の中には、観念のモンスターがいた。

それは僕にこうささやいていた。「人に弱みを見せちゃダメだ。自分が強くないと、周りはついてこない」。

思考の中のモンスターは、つらさを人に見せることを許さなかった。

責任は自分がとる、自分がなんとかするしかない、そしてなんとかできない自分には価値がない、と僕を縛っていた。

僕はメンバーに頼ることも、弱音を吐くことも、できなかった。

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最終更新:10/8(火) 14:00
新R25

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