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【卓球】伊藤美誠 涙こらえ「誰にも負けない選手になりたい」連覇逃すも大きな成長

10/8(火) 16:25配信

テレビ東京スポーツ

テレビ東京卓球NEWS

 伊藤美誠(スターツ/世界ランク7位)の大会連覇が期待されたITTFワールドツアー「スウェーデンオープン」<10月1~6日/ストックホルム)が6日、幕を閉じた。

ディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨んだ伊藤は女子シングルス決勝で敗れ、惜しくも準優勝。1回戦で佐藤瞳(ミキハウス/世界ランク19位)、2回戦で平野美宇(日本生命/世界ランク9位)といった東京2020五輪の日本代表枠を争うライバルたちに勝利すると、続く準々決勝では王曼イク(世界ランク4位)、準決勝では今、最も勢いのある孫穎莎(世界ランク6位)ら同世代の中国勢を次々と撃破した。

そして迎えた決勝では世界ランク1位の陳夢(中国)と対戦。ゲームカウント3-1に追い詰め連覇まであと一歩のところに迫ったが、土壇場で底力を見せた陳が3ゲームを連取する大逆転で伊藤の連覇を阻んだ。

 勝負に負けはしたものの、約4年ぶりの陳との対戦で伊藤は大きな成長を見せた。本人も決勝直後に「結果は満足ではないですけど、ここまで来れたというのは自分の実力が上がった証拠だと思います」と話している。

前回の2人の対戦はポルトガルの首都リスボンで開かれた2015年のグランドファイナル女子シングルス1回戦だった。当時15歳の伊藤は6歳年上の陳にゲームカウント1-4の大差で敗退したが、今回のスウェーデンオープンでは多彩なサーブ・レシーブからの展開で先手を奪い、強烈なフォアハンドを繰り出す陳とのラリー戦でも打ち負けなかった。打ち合いになると最後の一本を中国人選手に取られてしまうというのが日本人選手の悩みどころだが、この日の伊藤はミスが少なく、攻められたボールもブロックなどでしっかり守り「最後の一本」を高い確率で決めていった。

 特に目を見張ったのが、さらに増えたサーブのバリエーションだ。もともとサーブが得意な伊藤だが、意表を突くタイミングのロングサーブや投げ上げの巻き込みサーブ、フォア前に絶妙な長さで出す巻き込みサーブなどで相手を翻弄した。レシーブもフォアストレートにパチンと弾くバックハンドが何本も決まり、伊藤独特の逆チキータやカットブロックなどで変化をつけるボールでもポイントを奪った。陳がバック側に出してきたロングサーブに食い込まれレシーブミスをする場面が幾度かあったが、途中から思い切って回り込みフォアハンドで応戦していった。陳とのこの一戦はまさにあの手この手を尽くした頭脳戦だったと言えるだろう。

 それは試合中の表情にも見て取れた。ここ半年ほどの伊藤は1ポイントの重さを大切にするあまり、目の前の一本にこだわり過ぎてゲーム全体を俯瞰できず、試合でフラストレーションを溜めることが多かった。それゆえに前戦チェコオープンまではミスをすると首を傾げたり顔をゆがめたりと感情が表に出ていたが、陳との決勝では表情をほとんど変えずポーカーフェースを貫いた。この変貌ぶりについて伊藤はこう語る。

「冷静に、少し(戦い方を)考えて、前とはちょっと違う自分を出してみようと思って。結構(感情が)表に出てしまうタイプなんですけど、相手に自分の考えや気持ちを読ませない、そういうのをやってみたいと思いました」

 今大会の伊藤はもうひとつ、準決勝で孫穎莎に勝つという大きな収穫を挙げている。同じ18歳の孫とは今年4月の世界卓球2019ハンガリー(個人戦)女子シングルス3回戦で完敗して以来の対戦。このリベンジマッチで伊藤はゲームカウント2-0でリードされるも、そこから4ゲーム連取する怒とうの逆転劇で雪辱を果たした。孫は2週間前の2019アジア選手権でも丁寧を準決勝で、劉詩ブンを決勝で破り優勝。スウェーデンオープンでは準々決勝で再び丁寧を破っていた。世界最強の中国勢の中でもすさまじい勢いで伸びているのが今の孫で、その強さはパワーといい速さといい、誰にも手が付けられないほど圧倒的だ。

 今回の伊藤は孫に対しても多彩なサーブで先手を奪い、最大の武器であるスマッシュやバック表特有のナックル系のボールで孫のミスを誘うなどしてチャンスをものにしていった。チェコオープンから約6週間、オフを返上して基礎練習から取り組んだという伊藤は、「(練習の成果は)試合をやっていてすごく感じます。前回は孫選手のボールに吹っ飛ばされていたけど、今は食らいつけるようになっている」と話している。

 だが勝てそうな試合で優勝を逃した悔しさは隠せない。表彰式ではこみ上げてくる感情を押し殺すように硬い表情で、笑顔の陳とは対照的だった。バックヤードに引き上げる際には「どのタイプにも対応できて、どんなボールも受けられて、誰にも負けない選手になっていきたい」と涙をこらえて語った伊藤。しかし、翌週にはワールドツアー・プラチナ「ドイツオープン」が控えているとあって、足早に練習会場に消えていった。

(文=高樹ミナ)

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最終更新:10/8(火) 16:28
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