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「なんとか間に合った」熊本城の特別公開 難工事を支えた“チームの力”

10/8(火) 20:11配信

西日本新聞

 2016年4月の熊本地震で被害を受けた熊本城(熊本市中央区)で5日、天守閣前広場周辺の特別公開が始まった。外観修復をほぼ終え勇壮な姿が輝く大天守。一般の市民や観光客が城を間近で見られるのは3年半ぶりとあり、朝から入場を待つ行列ができた。

【写真】3年半ぶりに特別公開された熊本城

 二の丸広場から約450メートルの見学ルート。工事用スロープの先に瓦と真っ白なしっくいの対比が美しい大天守が現れると、来場者は雄姿に見とれていた。この日、熊本市は最高気温30・4度の真夏日。汗を拭いながら、工事が続く小天守や壁が剥がれたままの国重要文化財「宇土櫓(やぐら)」にカメラを向ける人の姿もあった。

 大西一史熊本市長は公開前の式典で「全国からの支援で、本日の節目を迎えられた。復興への歩みは着実に進んでいる」と語った。特別公開は主に日曜祝日に行う。天守閣内部の公開は21年春を予定している。

熊本のシンボルを「復興の象徴」とするために

 「なんとか間に合った」。熊本市熊本城総合事務所で天守閣の復旧を担当する城戸秀一さん(45)=福岡県行橋市出身=と田代純一さん(38)=熊本市出身=は「至上命令」をクリアし、つかの間の笑みを浮かべた。熊本地震発生から約3年半。白く輝く大天守を仰ぎ見た。

 地震の直後だった。「とにかく天守の復旧を急げ」。熊本のシンボルを「復興の象徴」とするために。地震前から決まっていたラグビーワールドカップ(W杯)の熊本開催もあり、「大天守の外観復旧は2019年秋ごろ」を目指すことになった。

 やるべき仕事は、はっきりしていた。被害状況を調べ、設計図を作り、予算をはじいて業者に発注する。だが地震直後は余震が続き、内部に立ち入れない。「設計どころか調査もできん」。焦りを感じながら「事務屋」と「建築屋」の二足のわらじで、走りながら考える日々が続いた。

次々にぶち当たった壁

 次々に壁にぶち当たった。1960年復元の大天守に文化財的価値はないものの、土台は国の特別史跡。「穴は掘れない。価値を損ねてはいけない。折れた部材も復元して利用する。時間もお金もかかる」

 大学や大学院で建築を学んだ2人の専門は「コンクリート」。ビルの設計はお手の物でも、この現場は勝手が違った。難工事を乗り切れたのは「チームの力」だ。施工する大手ゼネコン大林組の技術やアイデア、職人らの経験と知恵に助けられた。国内外からの支援の声にも背中を押された。

 次の期限は2021年春、天守閣の内部公開。城内全ての工事完了は37年ごろの見込みだ。「達成感は正直ない。まだまだ、これから」と城戸さん。田代さんは「つらい日々もあったが、ここまできたら最後まで見届けたい」。2人の視線は先へ向く。 (古川努)

西日本新聞社

最終更新:10/8(火) 20:11
西日本新聞

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