ここから本文です

中国製なのに国宝指定されている「唐物天目茶碗」ってなに?  京都の禅寺で公開中

10/8(火) 15:00配信

まいどなニュース

 江戸時代中期に京都で活躍した絵師・伊藤若冲ゆかりの「相国寺」(京都市上京区)で、国宝茶碗も出品されている『茶の湯 禅と数寄』展がおこなわれている。

【写真】国宝 玳玻散花文天目茶碗相国寺蔵

 茶の湯や華道、香道などが生まれた、日本文化のビッグエポック・室町時代。その中心となっていたのが、中国からもたらされた最先端の文化や美術品が集まる禅宗寺院だった。

 「鹿苑寺(金閣寺)」(京都市北区)を造営した足利義満が創建した相国寺にある「相国寺承天閣美術館」には、室町時代から近世まで、相国寺、金閣寺、銀閣寺などに伝わってきた国宝5点、重要文化財145点を含む文化財が収蔵されている。今回はそのコレクションを中心に、茶の湯をテーマにした展覧会が開催されているのだ。

 日本には8点の国宝茶碗があるが、なんとその5点が中国製で、天目と呼ばれる茶碗である。今回出品されているのはそのひとつで、模様の面白さで群を抜く「玳玻散花文天目茶碗(たいひさんかもんてんもくちゃわん)」。室町時代の足利将軍家の茶の湯は、現在の「わびさび」イメージとはまったく違う、貴族的なものだった。道具は「唐物」、つまり中国製が最高とされ、茶碗は逆三角形の「天目」が一般的だった。

 「玳玻(べっこう)」に似た色、内側に唐花文。光線によってグレーにも紫にも輝く神秘的な色。当時、磁器を焼く技術のなかった日本で、この複雑な文様の茶碗がどれほど珍しがられたことか。しかし、この派手さゆえ、中国では人気がなかったとの説もある。

 その天目茶碗で、当時の貴人はどんなふうにお茶を飲んだのか? 同展に出品されている重要文化財の『羅漢図』を見ると、僧侶が台に茶碗を乗せて出し、茶を薬研ですりつぶし、そこに湯を注いで茶を点てている。相国寺での法会の茶礼には、現在もこのように天目茶碗が使われている。

■「掛けもの」から見える、禅と茶の湯の深い関係

 「茶は仏様に捧げるもの。道具は墨跡(高僧の書)を第一にします。それは、書かれた人の精神を大事にするということ」と、相国寺承天閣名誉管長・有馬頼底管長猊下は話す。茶の湯と禅の関係をもっとも強く感じさせるのが、茶会で床の間に掛ける、禅語の掛け軸「一行書」。これは茶会のテーマをあらわすものでもある。有馬管長猊下の背後に展示されているのは、京都・嵐山の臨済宗大本山「天龍寺」(京都市右京区)を創建した夢窓疎石の一行書『迷生寂乱』(南北朝時代 鹿苑寺蔵)。大意は「迷いがあると心がぶれる」。

 さて相国寺といえば、伊藤若冲ゆかりの寺でもある。若冲は相国寺の僧・大典禅師からサポートを受けて数々の名作を生み出した。大典と若冲がともにリスペクトした茶人・売茶翁の肖像も同展に出品されている。また、鹿苑寺(金閣寺)大書院の襖絵「葡萄小禽図」と「月夜芭蕉図」の2点が、床の間を再現して常設展示されている。若冲が大典禅師の依頼で描いたもので、いずれも若冲の水墨画の傑作。「京都で若冲が見たい」という人に、おすすめだ。『茶の湯 禅と数寄』展は、2020年3月29日まで(展示替えあり)、料金は一般800円。

「相国寺承天閣美術館」のユニークな見どころもご紹介



(まいどなニュース/Lmaga.jp・沢田 眉香子)

まいどなニュース

最終更新:10/8(火) 15:00
まいどなニュース

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事