ここから本文です

25年前に生まれた「inゼリー」は、なぜ過去最高を更新したのか

10/9(水) 8:22配信

ITmedia ビジネスオンライン

 その昔のことである。駅のホームで、サラリーマンのおじさんが腰に手をあてて、コーヒー牛乳をグビグビ飲んでいる姿をよく見かけた。そのような光景を目にすることはほとんどなくなったが、いまのサラリーマンは腰に手をあてて、何を飲んでいるのだろうか。読者の中には「ゼリー」を挙げる人がいるかもしれない。

【画像】1992年、「ウイダーinドリンク」をテスト販売

 「な、なんだよ、ゼリーって。カフェのコーヒーだろっ! 街中で持ち歩いている人をよく見かけるし」といったお叱りの言葉が飛んできそうだが、ちょっと待っていただきたい。確かに駅のホームで、ゼリーを飲んでいる光景を目にする機会は少ない。

 が、しかしである。「寝坊しちゃった。朝ごはんをゆっくり食べる時間がない」といったときに、家の中で、腰に手をあてながらグビグビやっている人がいるのかもしれない。そのように感じるほど、とあるゼリーが売れているのだ。10秒チャージでおなじみの「inゼリー」(森永製菓、200円~、税別)である。

 2018年度の売り上げを見ると、過去最高を更新。15年度と比べ、実に70%も伸びているのだ。inゼリーが登場したのは、25年前のこと。ナリタブライアンが三冠馬になって、関西空港が開港して、「同情するなら金をくれ」というセリフが流行した年に生まれたinゼリーは、なぜいまも売れ続けているのか。

 その秘密を解くために、森永製菓で同商品を担当している針ヶ谷仁さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

ドリンクタイプを九州でテスト販売

土肥: ロングセラー商品というのは、一般的に売り上げを伸ばすのが難しいですよね。時代の変化に対応するのが大変で、「現状維持がやっと」といった声が多い中で、inゼリーの売り上げを見ると、2018年度に過去最高を更新しました。その要因をお聞きする前に、この商品はそもそもどういったきっかけで開発を始めたのでしょうか?

針ヶ谷: 国内外で活躍するアスリートを支援するために、何ができるのか。行動を起こすことで、知識や技術などの知見をためることができるのではないか。ということで、1973年に健康事業部を立ち上げて、商品開発に取り組みました。

 新商品を開発するにあたって、「ああでもない、こうでもない」といった感じで議論を重ねて、最終的に「飲料」に決めました。体を動かすエネルギー、体のコンディションを整えるビタミン、体をつくりあげるプロテイン――。この3品を「ウイダーinドリンク」(146円、同)として、九州でテスト発売することに。

土肥: 資料を見ると、92年にスポーツ用品店やフィットネスジムなどで発売したようですね。で、結果は?

針ヶ谷: 残念ながら、ダメでした(涙)。市場に定着しなかったわけですが、指をくわえて見ていたわけではありません。アスリートなどに「どんな商品であれば、いいですか?」と聞いたところ、不満の声がありました。「缶を開けたら、飲み切る必要がある。一気に飲みたくないこともあるのに」「缶なので、特定の場所に捨てなければいけない。これは面倒」など。

 また、このような意見もありました。「運動の前後に摂取することで、小腹を満たしてくれるモノがいい。満腹にならずに、なんとなく満足できるようなモノを」と。世の中には飲料ブランドがたくさんありますよね。スポーツドリンクもたくさんある中で、ウイダーinドリンクはその枠を超えることができませんでした。

 こうした反省を受けて、社内で「じゃあ、どうしようか」といった話になりました。また「ああでもない、こうでもない」と議論を重ねていくうちに、「ゼリーはどうか?」という声がありました。そこでどうしたのか。自社の「サンキスト飲むゼリー」という商品に着目して、この技術を応用できるのではないかと考えたんですよね。スポーツドリンクのように飲めるけれど、食べ応えを感じることができる。そんな商品であれば、アスリートも支持してくれるのではないかと考え、94年に「inゼリー」を発売しました。

1/4ページ

最終更新:10/9(水) 8:22
ITmedia ビジネスオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事