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折りたたみの後は「水平線」、中国スマホメーカーが新しいディスプレイのトレンドを生み出す

10/9(水) 12:46配信

ITmedia Mobile

 Huaweiが9月に発表した「Mate 30」シリーズは最新のプロセッサ、Kirin 990を搭載したハイスペックな製品だ。そのうちの1モデル「Mate 30 Pro」はディスプレイの左右を広げベゼルレス化を目指したモデルだ。中国メーカーは今やスマートフォンのカメラで他社を上回る性能や機構を取り入れたモデルが増えており、カメラ性能をけん引する存在になっている。そのカメラに続き、ディスプレイでも中国メーカーが新しいトレンドを生み出そうとしているのだ。

ディスプレイが裏に回り込んでいるスマホ

 Mate 30 Proは6.53型、1176×2400ピクセル(18.5:9)のワイドサイズディスプレイを搭載している。しかしそのディスプレイの側面を見ると、右側には電源キーがあるものの左側には一切のキーがない。側面はディスプレイがほぼ半分まで回り込んでいるデザインで、Samsungの「Edge Display」に似ているものの、その折り曲げ角度は88度とより直角に近く、カーブしているというよりも垂直に曲がっているという印象を受ける。

 Huaweiはこのディスプレイを「Horizon Display(水平線ディスプレイ)」と呼んでいる。本体を横から見ると、まるで水平線が見えるかのように、側面のベゼルが見えず表示エリアがなだらかにつながる様から名付けたのだろう。ここまでディスプレイが回り込んでいると誤タッチの心配があるが、製品発表会の会場で触ってみたところ、本体を握ったからといって左右側面のディスプレイ部分が反応することはなかった。タッチパネルの感度が調整されているのだろう。

 側面をディスプレイにすると、指先で左右にスワイプした際に側面から、まるで巻物のように表示が動く視覚的な効果が得られる。また、本来はタッチパネルのため、ソフトウェア的なキーを配置することも可能だ。Mate 30 Proは側面をダブルタップするとボリュームキーが表示され、カメラを起動してフロント側に切り替えるとシャッターキーが現れる。側面タップで画面にキーを呼び出す機能は、Xperiaのサイドセンスなどがあるが、側面をディスプレイにすれば、キーの位置を自由に動かすときなど視覚的に扱いやすいかもしれない。

 電源キーを本体上部に配置すれば、左右にキーのないスッキリしたデザインにできるはずだが、画面ロック解除時など電源キーを使う頻度はいまだ高い。まずはボリュームキーの廃止、そしていずれは電源キーも廃止(あるいは上部へ移動)されるのだろう。

 キーレススマートフォンはVivoが「APEX 2019」を、Meizuが「Zero」を1月に発表、Zeroはクラウドファンディングを行ったが資金調達に失敗し、APEX 2019もコンセプト止まりで製品化はされていない。側面にベゼルのある従来と変わらぬデザインのスマートフォンをキーレス化する意義は今のところ少なさそうだ。

 キーレス化の動きはこの2機種で今のところ止まっているが、本体の左右側面にセンサーを埋め込むなど付加価値を付ける動きは以前から始まっていた。また、左右側面までディスプレイを伸ばし、ベゼルの幅を狭めるとともに、前面が全てディスプレイに見えるようなデザインは、Samsungの前述したEdge Displayがあった。ところが2019年7月にOPPOが突如「Waterfall Display」のコンセプトを発表。滝が落ちるように側面がほぼ直角に曲がったディスプレイを披露したのだ。

 市場からはすぐに「誤操作は大丈夫か」「側面をディスプレイにする意味はあるのか」という声が挙がった。しかしインカメラを含む本体上部をモーターで可動式にした製品を商用化したOPPOが、その程度の懸念事項をクリアしていないわけはないだろう。そしてこのWaterfall DisplayはOPPOと母体をともにするVivoから先に「NEX 3」として登場した。

 NEX 3の側面にはキーなくセンサーが埋め込まれ、電源キーとなる位置にはマークだけが表示されている。ボリュームキーはMate 30 Proのようにディスプレイの右か左端に表示される。この2機種を見ていると、音量調整は物理的なキーを押すよりも画面タッチした方がスマートに見えてくる。また、側面まで回った表示エリアは物理的なディスプレイサイズをより大きく感じられるようでもある。

 それではHorizon/Waterfall Displayは今後他のモデルにも搭載は進むのだろうか?TCLの子会社のディスプレイメーカー、チャイナスター(CSOT)は9月にベルリンで開催されたIFA2019で、同タイプのディスプレイを展示しており、商用化に向け開発を進めている。ディスプレイにはデモ画面が表示されていたが、左右から流れるように表示が動く様や、ボリュームキーの画面表示などは見ていて美しさも感じられた。

 チャイナスターはスマートフォン各社にディスプレイを納入しており、最近ではSamsungの一部スマートフォン向けにも供給を開始している。中国ではBOEと並ぶディスプレイ大手の同社がこのタイプのディスプレイ開発を行っているということは、これから中国メーカーを中心にHorizon/Waterfall Displayの採用が進む動きがありそうだ。

 このように、ディスプレイの新しいトレンドが中国メーカーから生まれようとしている中、Xiaomiが突如発表したのが「Mi MIX Alpha」だ。まだWaterfall Displayすら普及が始まっていない中、Mi MIX Alphaはディスプレイの回り込みを背面にまで広げ、画面占有率100%以上という驚異のディスプレイを搭載した。表も裏もディスプレイであり、どちらの面を持ってもそのままスマートフォンとして使えるデザインは斬新すぎる。

 側面部分はステータスエリアとすることで、表面の全てを表示エリアとしていてもバッテリー残量や通知を見ることができる。裏面はカメラによりディスプレイが左右に分かれているが、それぞれ別の表示を行うこともできるようになれば、「メイン」「サブ」という2つの使い分けもできそうだ。どのように使うかはさておき、現在の技術で実現できることをまずは製品化したというアグレッシブな姿勢は高く評価できる。

 なお、1月に発表され大きな話題になったRoyoleの折りたたみスマートフォン「FlexPai」は、折り曲げたときの側面部分にショートカットキーを割り当てている。Mi MIX Alphaは誤操作防止のためかキー配置はないようだが、センサーの技術が高まれば、側面スライドキーのような機能も搭載されるようになるだろう。

 裏面も使えるスマートフォンとしては、Nubiaの「X」「Z20」が存在するが、あまり話題になっていないのは、表と裏が連続した1枚になっているのではなく、それぞれ別のディスプレイだからかもしれない。両面カラーディスプレイも明確な使い方がまだ見えていないが、Mi MIX Alphaの登場で両面を使う新しいアプリケーションが生まれるかもしれない。

 Samsungが折りたたみディスプレイを、LGはその昔たわむディスプレイを開発してディスプレイメーカーでもある両者の技術力の高さを世界中にアピールした。しかし、今や中国のディスプレイメーカーやスマートフォンメーカーがこれまでにない全く新しいディスプレイを開発、搭載しようとしている。スマートフォンの顔ともいえるディスプレイの技術革新は、これから中国メーカーがけん引する時代になりそうだ。

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最終更新:10/9(水) 12:46
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