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「在職老齢年金」の減額制度、見直しへ 基準「62万円超」引き上げ案軸に検討

10/9(水) 20:15配信

毎日新聞

 働いて一定額以上の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」について、厚生労働省は9日の社会保障審議会の年金部会で対象者を縮小する案を示した。現在は、賃金と年金の合計月額が60代前半で「28万円超」、65歳以上は「47万円超」で年金が減らされるが、減額基準を「62万円超」にそろえて引き上げる案を軸に検討する。

 与党との調整を経て年末までに結論を出し、来年の通常国会に関連法の改正案を提出する構えだ。

 在職老齢年金は会社勤めで厚生年金を受け取る高齢者が対象。賃金を得るほど年金が減らされる仕組みで、政府は「就労意欲を阻害している」として、「廃止も展望しつつ、速やかに見直す」方針を示していた。

 厚労省は、厚生年金保険料の算出に用いる「標準報酬月額」の最も高い等級が「62万円」であることを踏まえ、65歳以上を対象とした制度について、①減額基準を62万円超に引き上げ②全廃――の2案を示した。60代前半は、厚生年金の支給開始年齢の65歳への引き上げが完了(男性2025年、女性30年)することを踏まえ、①自然消滅を待つ②62万円超に引き上げる――の両案を提示した。

 基準額を引き上げた場合、比較的収入がある高齢者の年金は増えるが、その分、低賃金・低年金の人を含めて将来世代の年金財源を削ることになる。この日の年金部会では見直しについて賛否双方の意見が交錯したが、与党からは「『金持ち優遇』と言われ、完全撤廃は難しい」(幹部)との見方が出ている。このため廃止を見送った上で、一律「62万円」に基準を引き上げることを軸に政府・与党内で調整が進む見通しだ。

 今の枠組みだと、60代前半で年金が減額されるのは約67万人で、働く高齢者の約55%(19年度末推計)。65歳以上は41万人で、同じく17%(18年度末)が対象となる。60代前半で約4800億円、65歳以上で約4100億円の年金支給が停止されている。減額基準を「62万円超」に引き上げた場合、年金を減らされるのは在職者の1割程度に縮小する見込みだ。【横田愛】

最終更新:10/9(水) 20:21
毎日新聞

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