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地方の飲食店経営の厳しい実情 福井の店主「正直しない方がいい」

10/9(水) 17:54配信

福井新聞ONLINE

 民間調査が発表した2019年度上半期(4~9月)の小売業者の倒産動向調査によると、上半期の倒産件数は988件で、そのうち最多の4割を占めたのが「飲食店」だった。その厳しい経営の現実について、現役の経営者にコラムを寄稿してもらった。

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今回コラムを書かせていただくことになりました、ゆるパブメンバー平等です。現在の仕事は、ベルベール(カフェ)・観葉植物のリース・経営アドバイザーの3つの肩書です。

まず、経営アドバイザーとして言わせていただくと、正直飲食店はしない方がいいです。

拘束時間が長い、職業としては下に見られる、給料安い、利益も薄い。これが「普通の飲食店」です。損益計算をおこなっても経常利益10%もあったら超優秀です。飲食店って儲かるんじゃないの?とよく聞かれますが儲かりません!

出店コストは居ぬきなら500万円~程度、新築なら規模にもよりますが2000万くらい必要です。そこから経営をはじめたとしても、飲食店の経費割合は原価率30%、人件費(バイトや社員を雇う場合)30%、地代家賃7~10%、光熱費7~10%と、小さく見積もっても74%が経費です。このほかの経費としておしぼり・お冷・玄関マットなどのサービス費、グラスやお持ち帰り用の容器などの消耗品費、社会保険料や税金、借入金利、等々。

また、当たり前ですが借入の返済元金は最終利益から引かれるので経費になりません。

飲食店が儲かると言われていたのは、高度成長期時代に夫婦2人で席数15席~20席程度で紅茶やコーヒーと軽食のみ提供、自分の土地建物で経営するような昔の喫茶店です。このスタイルは、水と粉(コーヒーや紅茶、小麦)が原価なので平均原価率10%~15%程度で利益率も高く、夫婦2人食べていければいいという条件下での経営内容です。

現在は、原材料費の高騰や人口に対する飲食店数の飽和などもあり昔のように簡単に儲かりません。

しかし、もちろん儲かる飲食店もあります。

簡単な話、最終利益10%程度でも売上が大きければ儲かります。席数・客数が少なくても客単価が高い、客単価は低いが客席回転数が高回転、原価率が低くロス率も低いなど。

飲食店経営者はいつも夢見ています。原価率が低く高単価商品がバカ売れする夢を。

最近流行りの「タピオカドリンク」がその典型です。タピオカは、原価率や人件費、出店コストも低く、スタッフオペレーションも簡易。流行りが終われば即撤退できるこのスタイルは「儲けだけを考えた」経営スタイルといえます。素晴らしいですね。

料理好きで飲食店経営を始めたいや始めた方にとっては、ものすごくばかばかしい捉え方かもしれません。料理人としてのプライドもなにも感じられませんから。

このように飲食店経営者は2種類います。利益追求型の経営者と理想追求型の経営者。どちらが儲かっているかは前者ですね。後者の経営者が悪いという話ではありません。私はどちらかというと後者の経営者が好きです(笑)

理想追求型の経営者の方は、料理の勉強をしてきた人に多く「美味しいものを提供してたくさんの人たちに食べてもらいたい」「美味しいものを提供すればお客さんが増える」といった感じの理想を持っています。

飲食店に対してお客様が求めるものは、「サービス」「味」「価格」といったところだと思いますから、「美味しいものを提供すればお客さんが増える」は間違いないですね。しかし、美味しいものを提供するには「仕込み時間」「提供時間」がかかります。お客様満足度を上げるためには提供時間を短くする必要がありますが、ランチタイムなど混み合う時間はどうしても提供時間が遅くなります。提供時間が遅いと美味しくても満足度が下がります。
バランスが難しい。

仕込み・提供時間やスタッフオペレーション、作業導線などを効率化し飲食店経営者は自分の時間や経営に割ける時間を増やしてほしいです。

方法はたくさんあります。利益追求型のスタイルを取り入れながら、美味しいものを提供していくことが重要です。このバランス感覚を作り上げることが飲食店経営の難しさと楽しさでもありますね。

福井新聞社

最終更新:10/9(水) 17:54
福井新聞ONLINE

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