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【米大統領選】既得権益に切り込む! 民主党の有力候補、エリザベス・ウォーレンの半生

10/10(木) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

2020年の米大統領選に向け、民主党の候補指名獲得を目指す上院議員のエリザベス・ウォーレン氏は、アメリカの中流階級に均等な機会を与えるために"戦う者"としての政治的アイデンティティーを築いてきた。尊敬される研究者としてキャリアを積んできたウォーレン氏は2008年の金融危機のあと、全国的な知名度を獲得し始めた。ワシントンD.C.に進出すると、ウォーレン氏は銀行や投資家に対する政府の責任の欠如が経済破綻を引き起こしかけたと非難した。

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2012年には上院議員に立候補し、共和党の現職だったスコット・ブラウン(Scott Brown)候補に勝利。マサチューセッツ州を代表する初の女性上院議員となった。

そして今、ウォーレン氏は企業や富裕層の既得権益に切り込む進歩的なビジョンをキャンペーンの中心に据え、大統領を目指している。

その選挙キャンペーンの中で、ウォーレン氏はしばしば自身の子ども時代の重大な岐路 ── 米小売り大手のシアーズ(Sears)で電話応対をする、最低賃金の仕事に就くという自身の母親の決断 ── について語っている。

ウォーレン氏の父親が1960年代に心臓発作に襲われ、オクラホマ州オクラホマシティーでセールスマンとしての仕事を失ったことで、一家には選択肢がほとんど残されていなかったのだ。突然、家を失いそうになり、破産寸前に追い込まれた。

ウォーレン氏は、母親の最低賃金の仕事が家族を貧困から守り、厳しいときにもなんとか生活できるだけのお金を与えてくれたという。

「これは政府の問題だ。どんなに一生懸命働こうと、政府が作ったルールによって人生に大きな違いが出るのだ」と、ウォーレン氏は4月に語っている。

エリザベス・ウォーレン氏の半生を写真とともに振り返ってみよう。

エリザベス・ウォーレン氏は、エリザベス・へリングとして1949年6月12日、オクラホマ州ノーマンで生まれた。成長するにつれ、家族は彼女を「ベッツィー」と呼んだ。

Source:
The New York Times

ウォーレン氏には3人の兄がいて、のちに全員が軍で働いた。

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Biography

成績優秀だったウォーレン氏は6年生を飛び級。一家はその後、彼女をより良い学校に通わせるため、オクラホマシティーに引っ越した。

Source:
The New York Times

1960年代、父親が心臓発作に襲われ、職を失った。ウォーレン氏は、シアーズで働くという母ポーリーンの決断が、家族を破産から救ったと話している。「あの最低賃金の仕事が我が家を救い、母が家族を救ったのです」

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The New York Times
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CNN

ウォーレン氏は16歳までに、州のディベート王者となり、高校を卒業した。その同じ年に、ディベートの奨学金でジョージ・ワシントン大学に入学。教師になりたいとの希望を持っていたという。

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Biography.com
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CNN

大学2年生の時、高校時代の彼氏と結婚するため、ジョージ・ワシントン大学を中退。その後、ヒューストン大学を卒業し、1971年にはニュージャージー州に引っ越して、長女アメリアを出産した。

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The New Yorker
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Biography.com

1980年、ウォーレン氏はハーバード大学法科大学院の教授で、2番目の夫ブルース・マン氏と結婚。自身も法律の学位を取得後、ペンシルベニア大学やハーバード大学法科大学院などで法律を教えるようになった。

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CNN

ウォーレン氏はその研究者としてのキャリアの多くを、アメリカ人が破産法の適用を申請する理由について調べることに費やしてきた。そして、経済的に最も大きな犠牲を払うことになるのは、失業、離婚、健康問題といった悲惨な、個人の出来事に直面した中流階級の家庭であることを発見した。彼女の研究は、経済的困難を経験した人やその理由に関するこれまでのアイデアを覆すものだった。

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The Boston Globe

連邦議会の議員たちもウォーレン氏の専門性を頼りにし始め、同氏はさまざまな法案について証言するためにワシントンD.C.へ行くようになった。2008年の金融危機では、7000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP)の監督委員会の委員長に指名された。

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The New Yorker

監督委員会の委員長としてウォーレン氏は、金融危機で打撃を受けた中小企業や住宅所有者への対策が不十分だとして、オバマ政権のガイトナー財務長官(当時)を批判した。ガイトナー氏は自らの回顧録で、監督委員会の公聴会は「真剣な調査というより、YouTube向けの調査」のようだったと述べている。

Source:

The New York Times Magazine

金融危機は、略奪的な貸し付けやその他の詐欺行為から消費者を守るための連邦政府機関が必要だとするウォーレン氏の考えを強めた。オバマ大統領(当時)は2010年9月、ウォーレン氏を消費者金融保護局(CFPB)設立の責任者に指名した。

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TIME

CFPBでの仕事を終えたウォーレン氏はマサチューセッツ州に戻り、2012年の上院議員選挙に立候補。現職の共和党議員に戦いを挑んだ。相手候補はウォーレン氏を「エリート主義的な態度」と非難し、「反自由企業」と呼んだ。

Source:

TIME 

だが、ウォーレン氏は54%の票を獲得して逆転勝利を収め、マサチューセッツ州選出の初めての女性上院議員になった。

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The New York Times Magazine

上院議員となったウォーレン氏は、政策通という自身のイメージを強固にした。金融街のさらなる透明性を追求し続け、学生ローン改革に関する法案を提出。他にも、未使用の処方薬の量を減らす法案や連邦政府職員の退職口座の投資利益を増やす法案など、さまざまな超党派の法案を起草し、のちに法制化された。

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Biography, 

Business Insider

顧客に無断で新規口座を開設するなど、スキャンダルへの対応をめぐり、ウェルズ・ファーゴのジョン・スタンフCEO(当時)を「臆病者」と呼んだのは、記憶に新しい。ウォーレン氏は、スタンフCEOの辞任を求めた。

Source:

CNN

ウォーレン氏は一時、2016年の大統領選への立候補を検討していたが、手を引いた。その後、同氏は上院議員のバーニー・サンダース候補ではなく、元国務長官のヒラリー・クリントン候補を支持すると表明し、2016年の民主党全国大会では基調演説を行った。

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Biography

トランプ政権が発足して以来、ウォーレン氏は移民、ヘルスケア、経済に関する政権の多くの政策に激しく反対してきた。だが、同氏は民主党のアプローチにも批判的で、「民主党は外へ出て、戦おうとしないことがあまりに多い」と述べている。

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The New York Times Magazine

ただ、2018年には、ネイティブ・アメリカンの祖先を持つことを証明するため、DNA検査を受けたことで批判された。ウォーレン氏は謝罪し、上院議員選挙で再選を果たした。

ウォーレン氏が正式に大統領選への立候補を表明したのは、2月に入ってからのことだ。労働者のための「根本的な変化」を呼びかけ、トランプ政権を「思い出せる限り、最も腐敗した」政権と批判した。そのすぐあと、同氏は富裕層からの個別の資金集めはせず、ロビイストからの献金は受けないと約束した。

Source:
The New York Times

ウォーレン氏は、アメリカ経済を作り変えるようなさまざまな政策アイデアを掲げている。これまでに税金、学生ローン、子育てに関する20以上の政策を提案してきた。選挙キャンペーンのスローガンは「わたしにはそのための計画がある」だ。

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The New York Times

その1つが、アメリカの上位0.1%の世帯に5000万~10億ドルの純資産がある場合は年率2%、10億ドルを超える場合は年率3%の富裕税を課すというものだ。カリフォルニア大学バークレー校の2人の経済学者は、これにより10年で2兆7500億ドルの税収が見込めるとしているが、こうした数字は楽観的だとする専門家もいる。世論調査では、このアイデアを有権者の過半数が支持していて、共和党支持者の半数も支持している。

Source:

ロイター
、The New Yorker

自身の富裕税についてウォーレン氏は、富裕層には中流階級に対する責任があると言う。「忘れてはいけない。あなたたちはアメリカでその富を築いた。わたしたちが従業員の教育費を払うのを助け、市場に商品を運ぶのに必要な道や橋の費用を払うのを助け、身の安全を守ってくれる警察や消防の費用を払うのを助けたこのアメリカで、だ」

Source:
The New Yorker 

ウォーレン氏の支持率は、こうした政策プランを背景に、着実に伸びていった。献金も増え、2019年1月~6月で2500万ドル以上を集めた。

Source:

The New York Times
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Business Insider

ウォーレン氏のキャンペーンの原則は、6月に行われた民主党の予備討論会での冒頭の発言に現れている。「政府や経済が金持ちにとって素晴らしく、そうでない人々にとって素晴らしくないなら、それは純粋かつシンプルに、腐敗しているということだ。わたしたちは声を上げなければならない。真正面から立ち向かわなければならない。構造的変化を起こさなければならない」

Source:
The New Yorker

最初の予備討論会の後もウォーレン氏の勢いは続き、順調に資金を集めながら、有力候補としての地位を固めた。同氏が掲げる住宅、教育、経済における政府のイニシアチブを聞くために、彼女のもとには多くの人が集まっている。

Source:

Los Angeles Times
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The New York Times

7月の予備討論会では、サンダース候補とタッグを組み、ジョン・ディレイニー候補のような穏健派に対し、自らの進歩的なアイデアを擁護。ウォーレン氏は「メディケア・フォー・オールに関して、わたしはバーニーに賛成だ」と述べ、自身の国民皆保険制度に対する考えを強調した。

ウォーレン氏は有権者とつながる方法の1つとして、支持者とセルフィーを撮ることも大切にしている。同氏の集会では「セルフィーの列」ができることも多く、これまでに3万8000枚以上を撮ってきたという。

Source:
The New York Times

最有力候補と見られてきたジョー・バイデン元副大統領と初めて一緒に登壇した9月の予備討論会の後も、ウォーレン氏は順調に支持率を伸ばしている。国民皆保険「メディケア・フォー・オール」を支持する彼女をバイデン候補は批判したが、ウォーレン氏は自身の進歩的な政策を力強く守ってみせた。

Source:
Business Insider

[原文:Photos capture how Elizabeth Warren rose from a nearly broke Midwestern upbringing to a top Democratic presidential contender ─ and Wall Street's worst enemy]

(翻訳、編集:山口佳美)

Joseph Zeballos-Roig

最終更新:10/10(木) 8:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

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