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増大する台風の脅威と沿岸都市のジレンマ、世界が注目するイスラエル発・環境テック企業ECOncreteの挑戦

10/10(木) 6:00配信

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2018年9月、大阪など近畿地区に上陸した台風21号。

関西空港では滑走路が浸水したほかタンカーが連絡橋に衝突、大阪市内では住宅の屋根が吹き飛ぶなど、甚大な被害をもたらした。京都大学の推計によると、場所によって最大瞬間風速は60~70メートルに達したという。

同じ時期、フィリピンや香港では台風「山竹(Mangkhut)」が猛威を振るい、大きな爪痕を残した。山竹による経済損失額は、香港・中国で500億ドル(約5兆5000億円)、フィリピンで200億ドル(約2兆2000億円)に上ったともいわれている。

このような状況を経験したり見聞きしたりすることで、年々台風の脅威が増大していると感じる人は多くなっているはずだ。その直感は間違っていない。

学術誌Nature Geoscienceで2016年9月に発表された論文によると、アジア太平洋地域において1977年から現在にかけて、台風の強さ(最大風速)が平均12~15%高まったことが明らかになった。

台風の強さが15%高まった場合、その破壊力は50%も増加することになるという。また、最大風速59~69メートルのカテゴリ4、70メートル以上のカテゴリ5の発生割合は2~3倍増加している。

台風の強さが増大した理由として、海水温度の上昇が指摘されている。

同論文の共著者ウェイ・メイ氏は、これまでの海水温度の上昇が人的要因によるものなのか、自然サイクルの一環によるものなのかは断定できないとしつつ、この先さらなる温度上昇が続く場合、台風の脅威は一層増す可能性があると述べている。

台風が強くなることで懸念されるのが、沿岸都市での高潮による浸水被害。

この高潮による被害を防ぐために重要になるのが防波堤や波消しブロックだ。沿岸部にコンクリート製の壁とブロックを配置することで、高波や高潮による侵食や浸水被害を防ぐことが可能となる。

台風の脅威が増すことが見込まれるなか、沿岸都市は災害リスクを低減するために、さらなる防波堤の建設や波消しブロックの配置を行うことが求められる。

一方、コンクリート製の防波堤や波消しブロックを増やすことで、沿岸部の生態系に悪影響を与えてしまう可能性がある。

沿岸部に生息する動植物の多くは、海水を浄化したり、窒素や二酸化炭素などの温室効果ガスを吸収する役割を担っている。

台風の脅威の増大が海水温度の上昇に起因すると指摘されるなか、沿岸部の生態系を破壊することは、気温上昇を加速させることになってしまい、防波堤・波消しブロックの増設は徒労に終わってしまうことも考えられる。

沿岸都市はジレンマに直面しているといえるだろう。

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最終更新:10/10(木) 6:00
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