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家族の余命を受け入れられないときは「辛いけど見守って」 終末期を支える家族の過ごし方

10/10(木) 19:39配信

Hint-Pot

 「終活」という言葉が近年、クローズアップされている。「自分らしい人生の最期」を迎えるために様々な準備をすることだが、もし今、自分ではなく大切な家族の最期を「見守る側」になった際、準備している人はいるのだろうか? 家族が重い病を患い、余命宣告されたとき、残された時間をどう過ごしていくものか。Hint-Pot編集部では、だれもが迎える「終末期」に着目した。2回目の今回は「見守る」側の向き合い方について。長年、看護師として臨床の現場から多くの人々の最期を見つめ、終末期に関わる本人やその家族の意思決定に関する研究を続ける東京医療保健大学の櫻井智穂子准教授に話を聞いた。

【画像】がんと診断されたときから患者や家族に推進される 緩和ケアとは

 ◇ ◇ ◇

変化を見つめることで心の準備を

 櫻井氏は治癒が不可能であり、余命半年以内と診断された終末期がん患者とその家族への支援について、長年研究してきた。その研究の中で、見守る家族の葛藤を多く見聞きしてきたという。そのなかで、家族の終末期に向き合えず苦悩する人も見てきたそうだ。

「ある末期がん患者のお見舞いになかなか来れないというご家族の方がいらっしゃいました。ご遺体を見たときに受け入れ難かったのではないかと推測します。段々と悪くなっているところを見守るのは辛いですが、日に日にできていたことができなくなったり、言うことが変わっていったり、ひとつひとつ患者の変化を見ていれば亡くなった時に実感がわくからです」

 櫻井氏は、見守る家族の様子を医師から説明され頭では理解しながらも気持ちがついていかないケースが多いと話す。

「特別何かをしてあげるのではなく、これまでの普通の生活の中で、お互いに少しずつ身体の変化や死期が近づいていることを理解していくことが、病気の家族の最期を受け入れる自然なかたちだと思います」

元気なうちに“もしも”のときの相談相手を

 また、櫻井氏は見守る側がひとりで抱え込みすぎないように注意を促した。多くの場合、余命を宣告されるときは患者より先に、家族へ明かされるという。

 最近は患者本人が病名や余命の告知を希望することが多いが、本人に明かされるまでにひとりで抱える重責感と孤独感、患者本人に黙っている罪悪感やうしろめたさ。それらのせいで、患者と距離を置いてしまったり、適切な関係でいられなくなってしまう人もいるそうだ。

「残された時間の中で、変な溝や遠慮が生まれてしまうのは、とても辛いことです。余命のことなどを直接的な話はしなくても、見守る側は別の場所で気持ちを吐き出すなどして、患者さんと一緒にいる時間をできる限り持っていほしいと思いますね」

 櫻井氏によると、医師や看護師も患者や家族の気持ちを知りたい、力になりたいと思っているといい、担当の専門職員に打ち明けてほしいとした。しかし、実際のところ忙しく働く姿を目の当たりにする病棟の職員に、話しかけるのは気が引ける人もいるだろう。

 そこで、全国の「がん診療連携拠点病院」等にある「がん相談支援センター」といった、相談を専門に受ける窓口を上手に利用し、なるべく不安やイライラを溜めないようにしてほしいとし、それに加え櫻井氏の持論だというが、顔見知りの近所のかかりつけ医のような、専門的な知識を持つもしものときの相談相手を決めておくことをお勧めしたい。

「終末期は病状がコロコロと変わったり、次から次へと治療について説明され情報の大洪水になります。実際にご遺族の話を聞くと、『そのときは無我夢中で訳が分からなかった』と話されるご家族がとても多いです。ただでさえショック状態のときに判断を迫られますから、ひとりで決めるのはとても負担が大きいのです。そのため、ある程度の医療知識があり冷静に判断できる第三者の助言があると安心できますよ」

 親類や友人など人間関係のしがらみがあると、つい「折角いってくれたし」「私達のことを思って調べてくれたわけだし」と意に添わない判断をしてしまいがちだ。そのため元気なうちから、相談相手を決めておくといいという。

 現在、国は地域包括ケアを推進しており、在宅や施設等で療養し、地域で看取るというシステムの実現化を進めている。遺族にとって、「できる限りの介護ができた」と思えることが、病気の家族が亡くなった後の後悔や罪悪感を軽くする。思い残すことなく病気の家族を支えることができるよう、更なる地域包括ケアシステムの充実が期待される。今後さらに見守る側への様々な判断が委ねられていくことになるだろう。今から心構えと準備を進めていきたい。

Hint-Pot編集部・白石あゆみ

最終更新:10/16(水) 15:51
Hint-Pot

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