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「組み体操中止を」神戸市長の呼びかけを無視 市長の権限が及ばない教育委員会とはどんな組織?

10/10(木) 11:40配信

THE PAGE

 神戸市の小中学校で組み体操の練習中に骨折などの事故が相次いでいることを受けて、神戸市長がツイッターで中止を呼びかける事態に発展しています。日本の地方自治の制度上、教育行政について市長は権限をもっておらず、教育行政に責任を負うのは教育委員会ですが、同委員会は実施を決断しています。市長は選挙で選ばれており、顔が見える存在ですが、教育委員会のトップである教育長はたいていの場合、市民にまったく顔が見えません。市長も権限が及ばない教育委員会というのはどのような組織なのでしょうか。

 神戸市では、組み体操の練習中に事故が相次いだことから、久本喜造市長は教育委員会に対して、安全が確保できないと判断した場合、組み体操の実施を見合わせるよう文書で要請しましたが、同委員会は「中止は混乱を招く」という理由で実施を決断しました。市長の要請には強制力がないため、このままでは、多くの学校で組み体操が実施されることになります。業を煮やした久本市長はツイッターで「(前略)うち一件は全治4週間の重症とのこと。何を対応していたのか?何度でも言います。(中略)やめる勇気を持ってください」と教育委員会や各校の教師に対して、中止を決断するよう呼びかける事態となりました。

 日本は戦前、学校教育の場が、軍国主義の温床になったとして、民主憲法の施行と同時に、米国を参考に、地方自治と委員会制度が導入されました。

 教育委員会は各自治体の教育行政を担当する役所で、ここには市長の権限は及ばす、教育委員による合議で教育方針が決定されます。しかし現実には、事務局の意向を教育委員が追認するケースも多く、委員会制度が機能しないという指摘もあります。また、教育長に選ばれるのは、圧倒的に教員出身者が多いですから、事実上、教育委員会というのは、教師を中心に運営されている行政組織と考えてよいでしょう。

 組み体操については、「一体感を味わえる」「感動する」といった理由から、一部の父兄や教師が強く実施を求める一方、危険度が高く無謀であると批判する声も出ているという状況です。最終的には教育現場の問題であり、市長に権限がない以上、教育委員会が決断する義務がありますが、市長と同レベルの権限を持っている以上、教育長や教育委員には、やはり市長と同じだけの説明責任が求められます。

 今回の市長とのやり取りも、安全性の面から中止を求める市長に対して、教育委員会側は「混乱するかどうか」を論点としており、論理はかみ合っていないようです。他の自治体のケースでも、組み体操に対して、慎重な対応を求める意見の人は「顔」が見えますが、推進する立場の人はあまり「顔」が見えません。こうした状況では、意味のある議論は難しいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:10/10(木) 15:30
THE PAGE

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