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ソフトバンク長谷川勇、 内川の代打「何も考えなかった」

10/10(木) 11:43配信

西日本スポーツ

 ◆パ・リーグCSファイナルステージ第1戦西武4―8ソフトバンク(9日・メットライフドーム)

【写真】ガッツポーズを繰り出し、ほえる長谷川勇

 ベテランがたどり着いた「無の境地」から生まれた一振りだった。1点を追う8回2死一、三塁。「CS男」の内川に代わって打席に入ったのは長谷川勇だった。平良に2球で追い込まれたが、慌てない。5球目の真ん中高め155キロにバットを出すと、打球が左翼手の前にポトリ。土壇場で試合を振り出しに戻す一打に、一塁ベース上で右拳を何度も振り上げた。

 「とにかく無心だった。内川さんの代打だってことについても何も考えなかった」。普段は冷静さを失わない34歳が、興奮を隠さず何度も「無」を口にした。その同点打の直後に相手の捕逸で勝ち越しに成功。逆転勝利でアドバンテージを含めて1勝1敗の五分に戻した。「この瞬間のためにずっとバットを振ってきた。それが報われたことがうれしい」と充実の表情で汗をぬぐった。

 苦境にも心は折れなかった。8月21日のオリックス戦前。ヤフオクドームでの試合前練習中に首脳陣から呼ばれ、この日左膝裏肉離れから復帰する柳田に代わり、2軍降格を告げられた。この時点での打率は3割4分2厘のハイアベレージ。工藤監督と森ヘッドコーチから頭を下げられた。

 気持ちが切れてしまってもおかしくない状況でも、2日後の23日にはナゴヤドームでの2軍戦に先発出場。「リハビリ組に合流するかと思ったけど、すぐに遠征に行ってくれて本当にありがたかった。また力を借りるときが必ずくる」。森ヘッドコーチが言う「力を借りるとき」がまさにファイナルS第1戦、この日だった。

 緻密な理論の一方で、“観察眼”にも重きを置く。10月3日に福岡市内の焼き肉店で開かれた決起集会。「肉の声を聞け」。長谷川勇の発言に同席した2年目左腕の大竹は仰天した。無類の焼き肉好きである長谷川勇らしい語録かと思いきや、真意は別にあった。

 「視野を広げることは案外大事。野球だけじゃ養えない。そういう目線を持てば細かな変化に気付けるかもしれないし、野球にもつながってくる。普段の生活の一部だけど、意識するのは大事なこと」。日常のあらゆる場面を野球にも結びつける34歳だからこそ、いざという場面で「無の境地」に至ることができる。野球に全てをささげる男が大一番で輝きを放った。 (長浜幸治)

西日本スポーツ

最終更新:10/10(木) 11:43
西日本スポーツ

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