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吉野氏ノーベル賞「やっと世の中に認められた」 ゆかりの九大も沸く

10/10(木) 12:04配信

西日本新聞

 ノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は、昨年まで九州大の客員教授を務め、現在は訪問教授として講演している。30年来の付き合いで、リチウムイオン電池に関する共同論文を発表したこともある九大先導物質化学研究所の岡田重人教授(62)は9日、九大で報道各社の取材に応じ「自分のことのようにうれしい。やっと世の中に認められた」と快挙をたたえた。

【写真】記者会見で笑顔を見せる吉野彰氏

 吉野さんは2015年10月、岡田教授の要請に応じて九大の客員教授に就任。旭化成勤務中は「二足のわらじは難しい」と拒まれたが、退社前日に承諾の連絡があったという。九大では年に数回の講義などで教え、定年退職後は訪問教授として年1回程度の講演を担当している。

 岡田教授が覚えているのは、頭脳明晰(めいせき)で志を熱っぽく語る吉野さんの姿だ。「(産業界に進んだのは)今まで誰も考えていないものを世に出したかったから」「失敗しても壁にぶつかっても、自分がつくり出すという気概を持ってほしい」。そんな言葉を学生に投げ掛けていた。人柄については「非常に話し掛けやすい。ダンディーで飲み屋でももてる方。学生にも優しく気さくで、怒っているところを見たこともない」と話した。

 NTTの研究者だった岡田教授は、リチウムイオン電池が市販された1991年前後、電池関係の学会を通じて吉野さんと知り合った。日本発祥の技術が多い蓄電池は日本のお家芸とされ、日本製の携帯機器が世界市場をリードしていく上で「願ってもいない神風だった」と振り返る。

 その後、電気自動車(EV)向けの開発が進むなど技術が成熟し、吉野さんの研究に対する評価も向上。昨年は、科学技術の進歩に寄与した研究者を表彰する日本国際賞を受賞し、今年は欧州発明家賞に輝いた。岡田教授は「誰も思っていない道を示せる人。距離を置いて上から(物事を)見る視点がある」と語る。

 これまでに九大出身のノーベル賞受賞者はいない。岡田教授は「海外に出た時に受賞者を出していない大学は肩身が狭い。九大には他にも候補がいるし、受賞の呼び水になれば」と期待を込めた。久保千春学長は「人類に最大の利益をもたらす発明。わが国全体の研究者を勇気づける」とのコメントを発表した。(四宮淳平、久知邦)

西日本新聞社

最終更新:10/10(木) 12:04
西日本新聞

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