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日常生活のつらさ克服にも応用できる「問題解決療法」

10/11(金) 12:14配信

Medical Note

患者さんに「がんになって気持ちがつらいときに、何か自分でできるよい対処はありませんか?」と尋ねられることもまれではありません。そのつらさを乗り越えるために、さまざまな専門的なカウンセリングの技法があります。その中で、自分でも取り組める「問題解決療法」という方法があります。【名古屋市立大学精神・認知・行動医学分野教授・明智龍男/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇不安や落ち込みと「問題」との関係

不安や落ち込みが強くなってしまった時には、その気持ちに圧倒されてしまい、「もうだめだ、自分にはどうにもならない」といったこころの状態におちいりがちです。ですが、ほとんど場合、こういったつらい気持ちの背景にはさまざまなストレス(これを「問題」といいます)があります。そして、人には、この問題を解決する力があるのです。全体をみるとあまりにも大きくて解決が困難だと感じられる問題も、小さく砕いて順々に取り組んでいけば解決は可能です。

◇問題解決療法5つのステップ

問題解決療法とは、日常生活における問題を解決することを通して、不安、抑うつをはじめとした精神症状緩和をはかることを意図した治療法です。問題解決療法の構造は、一連の5つのステップから構成されています。そのステップとは、

ステップ1:問題を整理し明らかにする
ステップ2:目標を具体的にする
ステップ3:解決方法を考える
ステップ4:よりよい解決方法を選ぶ
ステップ5:解決方法を実行し結果を評価する

――というものです。それぞれのステップをもう少し具体的に説明していきましょう。

◇ステップ1:問題を整理し明らかにする

まず、ストレスとなっている問題を書き出し、そのなかから扱う問題を選択します。ここでの重要なポイントは、「自分で変えることができる問題を選択する」こと、あるいは「変化させ得る問題に形を変える」ことです。

例えば、がんの患者さんにとって、がんと診断されたという問題は変えることができませんが、治療を受ける際の仕事の負担を減らすという形に問題を変えることはできます。

次いで、その問題をわかりやすい形に定義しなおします。例えば、「私の主人は私のことを理解してくれない」と表現される問題は曖昧で、どこをどのように変化させればよいのかが明確ではありません。一方、「私の主人は私が病気の治療について相談をしたいと言っても、疲れたと耳をかしてくれない」といった形で問題を定義づけると、変化させたい問題を浮き彫りにすることができます。

興味深いことに、患者さんが直面している問題が整理されて明確になるだけでも、患者さんの気分が改善することがあります。多くの患者さんは、複雑かつ複数存在することの多い問題に「圧倒」されているため、問題点が整理され、優先順位がはっきりするだけでも、気持ちの負担が緩和されるのです。

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最終更新:10/11(金) 12:18
Medical Note

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