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「奈良原一高のスペイン」展が世田谷美術館で開催。ダイナミックなイメージの数々で「約束の旅」をたどる

10/13(日) 8:06配信

美術手帖

 1950年代後半、極限状況にある生を見つめる「人間の土地」「王国」などのシリーズによって、戦後日本の新しい写真表現を切り開いた奈良原一高(1931~)。その個展「奈良原一高のスペイン―約束の旅」が、
世田谷美術館で開催される。会期は11月23日~2020年1月26日。


 62~65年にヨーロッパで自らの表現を問い直す旅に出ていた奈良原は、帰国後にふたつの写真集『ヨーロッパ・静止した時間』(1967)と『スペイン 偉大なる午後』(1969)を出版。前者のつくり込まれた重厚なイメージが高い評価を得たのに対し、闘牛や祭りなどを取り上げた紋切り型のルポルタージュに見える後者は、本格的に検証されてこなかった。本展はこの『スペイン
偉大なる午後』に焦点を当て、奈良原が同地で過ごした濃密な時間をたどろうとするものだ。

 本展では、重厚で静謐な世界観を持つシリーズ「ヨーロッパ・静止した時間」から15点、「スペイン
偉大なる午後」から120点のモノクローム作品を展覧。自ら「約束の旅」と名付けた道のりの痕跡としての作品群は、人々の生き様への共感、そして歴史、文学、美術をめぐる思索と創造力に満ちたダイナミックなイメージの奔流と言える。


 奈良原のスペインとの遭遇は、牛追い祭りとして知られるサン・フェルミン祭から始まった。本展は熱気をそのまま写し留めたような「祭り」、自らの車でスペインを踏破した奈良原がとらえた人々の暮らしからなる「町から村へ」、そして奈良原が最もこだわった「舞い」のイメージによる「闘牛」の3章で構成。写真集とは異なる流れによって、奈良原がスペインと出会うプロセスを体感することができる。

 加えて、『スペイン
偉大なる午後』のデザインを手がけたグラフィック・デザイナーの勝井三雄と奈良原による、1960年代の実験精神に富んだコラボレーションも特集。東京で奈良原の「忘れられたシリーズ」をほぼ半世紀ぶりに展覧する機会となる本展を、逃さずチェックしてほしい。

最終更新:10/15(火) 13:06
美術手帖

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