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台風19号 那珂川沿岸 沈む家屋 住民絶句 田園風景一変

10/13(日) 22:32配信

茨城新聞クロスアイ

太陽が上がった午前6時すぎ、水戸市の水府橋や千歳橋には水位を確認しに住民が集まり始めた。

国道123号は通行止めとなり、渡里町からは低地に位置する常磐自動車道水戸北インターチェンジやホームセンターが水没しているのが見えた。集まった住民に対し、警察官や消防士が「橋が流される危険があるので、これ以上近づかないで。皆さんの身の安全を守れません」と声をからし注意喚起していた。

国田義務教育学校(下国井町)の周辺では、刈り取りが終わった水田が次々と濁流で埋まっていく。まるでダムのようだ。ボートを出していた消防士が作業を終え、「お疲れ」の声を出し合っていた。

上国井町と下国井町では、約2・5キロにわたり那珂川の無堤防区間が続く。午前4時ごろに様子を見に来たという女性(72)は「那珂川の水が次第に道路へあふれ出してくるのを見た」と、当時の恐怖を語った。

その数時間後、数キロ下流の下国井町では、堤防の内側からごう音とともに大量の水が田畑や民家に流れ込んでいた。「滝のようだ」。普段はのどかな田園地帯。堤防を越える水流を眺めながら、近くに住む渡辺和子さん(69)は一変した風景に目を丸くした。

「何人が残っていますか」。幅広い区域が浸水した藤井町。濁流に囲まれた住宅のベランダにいる男性に、ボートの消防隊員が叫んだ。午後1時半、県内各地の消防隊員が応援に駆け付け、残された住民の救助を始めた。

家族と共に助け出された小田木誠さん(44)は「昨夜は早く寝てしまい、激しい水の音で目覚めた。庭が川のようになっていて驚いた」と、救助までの約6時間を振り返った。玄関から、排水溝から、じわじわと押し寄せてくる水流に「いつ止まるのか、不安でいっぱいだった。水害を甘く見ていた」と悔やんだ。

岩根町の集落は茶色い濁流にのみ込まれ、湖の中に家があるように見える。救助ヘリがホバリングして、取り残された住民をつり上げていく。救助船も出動し、住民を救出していく。午後になると、複数のヘリも加わった。

「集落に親類がいる」と言って不安そうにヘリを見ていた男性は「藤井川が那珂川と合流している。恐らく藤井川の水が那珂川に流れず滞留しているのでは」と話した。また、昨夜から友人宅へ避難していたという集落の女性(52)は「(水没してしまって)家の様子が全く確認できない。これから、どうしたらいいの」と途方に暮れていた。(清水英彦、前島智仁)

茨城新聞社

最終更新:10/13(日) 23:11
茨城新聞クロスアイ

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