ここから本文です

「きぼう」ののれん(10月13日)

10/13(日) 9:26配信

福島民報

 上空四百キロの国際宇宙ステーションにある日本の実験棟に、のれんが掛かる。実験棟の名前「きぼう」が、一文字ずつ藍色の下地に白く染め抜かれている。乗組員が中に入るとき、手をかざしてくぐる。

 日本の宇宙飛行士が伝統文化を伝える思いを込めて、十一年前にスペースシャトルで運んだ。福島市の安彦染工場が、茨城県つくば市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターから製作を頼まれた。縦五十センチ、横百五十センチの本染めは、先端技術の塊の中で、存在感を放つ。

 センターの施設に、実験棟の実物大模型が展示され、同じのれんが掲げられている。センターが震災後に、染工場に再び依頼して取り寄せた。被災地で生まれた製品に復興の象徴としての意味を持たせた。施設を訪れる人は興味深げに眺めたり、写真に収めたりする。

 染工場社長の安彦雅裕さんは、世界中から注目を集める存在を誇りに思う。「希望って目に見えないよね。でも同じ響きの言葉を見れば、心が奮い立つから」と宇宙にエールを送る。過酷な環境に身を置く研究者は、思うように実験が進まないときもあるだろう。三つの文字は前に進もうとする力を与える。

最終更新:10/13(日) 9:26
福島民報

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事