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「国のため」が最優先なら官房機密費でやってください――是枝裕和監督が語る「アートと助成金」

10/14(月) 17:10配信

BuzzFeed Japan

「あいちトリエンナーレ」問題をめぐって、公権力とアートと助成金の関係を問う議論が活発になっている。

【写真】是枝作品の常連だった樹木希林。11枚の写真で振り返る“大女優”の姿

『万引き家族』でカンヌ国際映画祭の最高賞(パルムドール)を受賞した際、政府からの祝意を「公権力と潔く距離を保つ」と辞退した是枝裕和監督は、今の状況をどう見ているのだろうか。【BuzzFeed Japan / 山崎春奈】

100年前から変わらない街で

是枝裕和監督の最新作『真実』が10月11日に公開された。

主演はフランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴ。共演にジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークを迎え、世界のトップ俳優たちと作り上げた意欲作だ。

撮影は、秋から冬に移り変わっていくパリで10週間にわたりおこなわれた。

クルーのほとんどがフランス人で、飛び交う言語は99%フランス語。日本での普段の撮影とは勝手の違う異文化の中で、どんな風に作品を作り上げていったのか。

――ヴェネチア国際映画祭でも上映され、公開前から注目が集まっています。反応はいかがですか?

僕の映画はどうも暗いイメージが定着しているようで(笑)、「意外に明るかった」と言ってくださる方が多いですね。軽やかな読後感の作品にしたかったので、うれしいです。

――パリの街の色彩の美しさが印象的でした。

本当に美しい街ですよね。何百年にわたる歴史の積み重ねがそのまま残っていて。「100年前からこの街並みはほとんど変わってないんだろうな」と思うと時間の重みを感じました。

今回はパリに暮らす人々のお話なので、観光客の目線ではないパリを撮ろうとは意識していました。なので、観光スポットは意図的に外しています。

すべてはバカンスのために。フランス流働き方を通して考えたこと

――撮影は1日8時間まで、夜間や土日は休み、夏には3週間のバカンス。フランスでの撮影スケジュールは日本とはずいぶん違ったそうですが、いかがでしたか?

時間的な制約は最初から聞いていたので戸惑いはなかったです。非常に優秀なスタッフたちが集まってくれたので効率よく進められました。とはいえ、これまで20年間以上やってきたやり方を変えなければならない部分はやはりたくさんありましたね。

――撮影が早く終わったとしても、編集作業などを含めると、監督の総労働時間は変わらないのでしょうか?

いえ、そんなことはないですよ、体力的にはずっと楽でした。

日本だと24時に撮影が終わって午前2時3時まで編集、なんてことはザラですが、フランスでは撮影が午後8時前には終わるので、その後にある程度作業しても午後10~11時くらいには終えられます。フランス人に言わせれば、それでも十二分に働きすぎですが(笑)。

その上、土日も休みなんでね。休みがあることで台本をブラッシュアップしたり、撮影スケジュールを調整し直せたりするメリットもありました。

――なるほど。詰め込みすぎないからこそ効率がいい面もあるんですね。

そうですね。でも、調子がいい時は、夜撮影が終わって「もっと球投げられるのに、肩は大丈夫なのに!5回で代えられてしまった!」と若干物足りない気持ちになることはありましたよ。

それに僕は、日本の映画の現場の寝食をともにして祭をやっていく感じ、文字通り「同じ釜の飯を食う」雰囲気も好きなんですよね。もちろん、そういう現場では誰かに負担を強いている面があるのは間違いないのですが。

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最終更新:10/14(月) 17:10
BuzzFeed Japan

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