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【世界から】スイス、食糧危機と戦う日本人生物学者

10/15(火) 17:42配信

47NEWS

 歯止めがかかる気配が一向に感じられない気候変動。その影響は今や肌で実感できるほど深刻になっている。それに伴って、干ばつや洪水といった自然災害も年を追うごとに悪化し、慢性的な食料不足を引き起こす大きな要因となっている。事実、国連機関の世界食糧計画(WFP)などの調査では2018年に約1億1300万人が干ばつなどによる食料不足で飢餓状態に陥ったほか、飢餓には至らないものの栄養失調状態の人が全人類のおよそ9人に1人に当たる計8億人以上いると推測されることが明らかになっている。

 現在はアフリカやアジアの一部地域にとどまっているが、地球全体の食物生産に大きな影響を与える日が遠からず訪れるに違いない。人類が存続の危機にひんすることを意味するそんな日に備えて、研究に突き進む生物学者がスイスのチューリヒ大学にいる。それがチューリヒ大進化生物学・環境学研究所の清水健太郎教授。日本を含む世界180カ国以上で定期購読されている雑誌「ナショナル ジオグラフィック」に紹介する連載が掲載されただけでなく、日経ビジネスの「世界を動かす50人」にも選ばれるなど注目を集める1974年生まれの若き研究者だ。

▼〝特殊能力〟を持つ植物

 清水教授は2006年からチューリヒ大に籍を置いている。そして、ここスイスで出会った新種の植物からヒントを得て、あるメカニズムを発見した。

 それが「異なるゲノムを持つ植物が組み合わさった時、それまでにない急激な進化をする」だ。詳しくは後述するが、このメカニズムをコムギに応用すれば危ぶまれている気候変動による食糧危機を防げる品種を作り出せるはず―。そう清水教授は考えている。

 チューリヒ大に職を得た清水教授は、13年に亡くなったエリアス・ランドルト氏、そして同氏が発見した新種の植物「Cardamine insueta」と〝偶然〟の出会いを果たす。「Cardamine insueta」は20世紀に入ってから出現したと考えられるアブラナ科の植物。日本では生息していないが、水田を始めとする水辺に群生する「タネツケバナ」の一種で「時に水につかるような環境」と「乾燥した環境」という条件が正反対の場所で生息できる〝特殊な能力〟を持っている。ちなみに、誕生の経緯は次のように推定されている。森林開拓の影響で乾燥した場所が広がった影響で、乾燥した場所を好む品種が冠水した環境でも生きられる品種と出会うことになり、双方の特徴を受け継いだ―と。

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最終更新:10/16(水) 9:54
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