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直近3試合で2度のトップ3 菊地絵理香、今季の不振と復調の理由【辻にぃ見聞】

10/15(火) 17:02配信

ゴルフ情報ALBA.Net

台風19号接近に伴い27ホールの短縮競技となった「スタンレーレディス」で2位タイに入った菊地絵理香。2週前の高校時代を過ごした宮城で行われた「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でも3位タイに入り、ここ3試合でトップ3が2度と2年ぶりのツアー優勝に向けて上り調子だ。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏も「秋に向けて期待する選手です」と話す。

今年6月の菊地絵理香のドライバーショット【連続写真】

■ショットメーカーでクレバーなゴルフをするからこその不振
2013年から5年連続で4000万円以上獲得している菊地だが、今季は苦しんでいた。4月の「スタジオアリス女子オープン」で2位タイ、5月の「ほけんの窓口レディース」で6位タイがあるが、それ以降でトップ10に入ったのはミヤギテレビ杯まで1度のみ。昨年年間トップ10回数7位の実力者からすると寂しい順位が続いた。辻村氏はこうなってしまった理由の1つとして、菊地のスタイルとツアー全体の大きな傾向の変化によるものだという。

「菊地さんはボールの落としどころ、落ちてからの転がりを計算してゴルフを組み立てる選手。それはショット力があるからに他なりません。また、難しいホールではピンではなくグリーンセンターを狙うなどメリハリのある攻め方ができるクレバーなゴルファーです。だから、多くの選手が苦戦するようなコースで強い。砲台グリーンが多いところ、グリーンが固くて止まらないところでこそ真価を発揮します」

そんなショットメーカーのアドバンテージが、減少するような傾向が今年のツアーでは見られたのである。

「今年の女子ツアーは全体的に柔らかく重たいグリーンが多い。ということは多少ショット力が不足していてもビタッとボールを止められる。加えてボールのランが出ないわけですから、落とした後の転がりがイメージよりちょっとブレても大きなミスとならない。ほとんどの選手がピンをガンガン狙っていきますよね。そうなると菊地さんの良さが出にくくなる」

また、重たいグリーンに合わないパッティングスタイルも苦しめた。「菊地さんはジャストタッチでラインに乗せるタイプ。ですが、重たいグリーンではしっかり打たないとショートしてしまうケースが多い。もちろん変化に対応するのがプロの技術なのですが、スタイルを急に変えろと言われてもなかなか難しいものがある。パターを転がりのいいものに変えたりと工夫していますが、かみ合わなかった部分が大きかったのだと思います」。現在の平均パット数はパーオンホールが60位、1ラウンド当たりに至っては80位。数字を見ても苦心しているのは明らかだった。

■体全体を使えていなかったのがスイングの不調の原因
もう1つの理由がショットの状態が上がらなかったこと。「現在のパーオン率は15位ですが、菊地さん本来の実力からすればまだまだ物足りない」と辻村氏が話すように、最大の武器も本調子までほど遠い状態だった。

まず、菊地のショットの長所として挙げたのが「ミート率の高さ」。これを生み出しているのが全身をくまなく使ったスイングだ。

「菊地さんはダウンスイングで右足を軸にしてクラブを体に引きつけ、手元が体に近くなったら、一気に左足への体重移動で自分の重みを乗せながら腰を回転していきます。腰の回転が最後まで止まらない。ボールをフェース面に長く乗せるイメージだからこそのハイドローボールです。右腰・右ヒザ・右足で作り出すエネルギーをあますことなく、ボールに伝え切ることができる。右足のくるぶしが地面方向に近づいていくフィニッシュからもそれが伺えます」

だが、今年はこれまでの菊地には見られなかった右方向への力のないミスショットが目立った。「調子が落ちてきたことで、曲げたくないからかクラブをボールに合わせにいっていたように感じました。そうなるとインパクトの前で力が緩んでしまう。そうなるとボールがつかまらないため、右に出て行ってしまう。いいときの菊地さんはインパクトからフィニッシュまでのスピードがほとんど落ちていませんでしたから。体全体を使った本来のスイングができていませんでした」。体全体でボールを押し込むことができなくなっていたのがショットの不振を招いた原因だという。

それが戻ってきたことが復調してきた要因だと続ける。「体全体を使えるスイングとなってインパクトに分厚さが戻ってきて、つかまりのある球が出てきました。秋に向けて状態は上がっていると思います」と仕上がってきた。

■TOTOに間に合わせられる実力者
それでも、この3週間で1000万円を超える荒稼ぎ。賞金ランキング30位まで順位を上げて、今週の「富士通レディース」終了時の35位以内に付与される11月の日本で開催される唯一の全米女子プロゴルフ協会公式戦「TOTOジャパンクラシック」の出場権をグッと引き寄せた。

「スタンレーは当初は出場しない予定だったと聞きました。ですが、出場を決めてしっかりと上位に入ってフィニッシュしました。グリーンが小さくて固くて速い利府ゴルフクラブ、アップダウンが激しい東名カントリークラブと相性が良いコースでトップ3に入るというのはさすがという他ありません。もちろん、TOTOの出場権が絡む秋口に向けて調子を上げてきたことも言わずもがなです」

出場圏内に食い込めたのはもう一つ理由があるという。「ショットもダメ、パターもダメ。そんななかでも菊地さんが少しずつでも賞金を加算できたのはアプローチの上手さにあります。シンプルな動きのピッチエンドランがとても上手い。そういった“技術のあるゴルファー”だからこそ大崩れをしません」。現在のパーセーブ率は7位。アプローチというセーフティネットが、最悪の状態を阻止している。

ここからさらに成績を出すのでは、と辻村氏が紡ぐ。「これから秋が深まっていきグリーンがしまってくる。そうなれば菊地さんの出番です。特にコンパクションが出てくるマスターズGCレディースあたりは面白そうですね。しっかりと賞金を加算して13年から出続けている最終戦の出場を決めるのではないでしょうか」。最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の出場資格はシーズンの優勝者か前週までの賞金ランキング30位。調子の良いショットで早々に決めてしまいそうだ。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:岩本芳弘)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:10/15(火) 17:02
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