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古川雄輝「仕事のことしか考えていない」 ドラマ『殺人分析班』シリーズ最新作が放送中

10/15(火) 6:01配信

TOKYO HEADLINE WEB

 ミステリー作家・麻見和史の小説を原作としたWOWOW人気ドラマシリーズ「殺人分析班」。本作で話題を集めた猟奇的殺人犯「トレミー」こと八木沼雅人にスポットを当てたスピンオフドラマ「悪の波動 殺人分析班スピンオフ」が放送中だ。視聴者から圧倒的人気を誇った殺人鬼が、3年ぶりにドラマシリーズに帰ってきた。日本のみならずアジア圏でも熱狂的なファンを持つ古川雄輝に主演作への意気込みを直撃した。


 ◇    ◇    ◇

「殺人分析班」は、2015年WOWOWプライムで放送された「連続ドラマ 石の繭 殺人分析班」、「連続ドラマ 水晶の鼓動 殺人分析班」と続くオリジナルドラマシリーズ。3作目となる本作は、1作目『石の繭』で描かれた猟奇殺人の直前にスポットを当て、ひとりの青年が冷徹無比な殺人鬼へと変貌を遂げるまでを描く。主人公・八木沼雅人を演じるのは、人気俳優の古川雄輝だ。

 3年ぶりの「殺人分析班」シリーズでWOWOW初主演。企画を聞いたときの心境は?

「純粋にうれしかったです。3回も同じ役をできることはあまりないですからね。『石の繭』では犯人役を演じましたが、犯人役って逮捕されたらその後、また出ることってなかなかないじゃないですか。でも『水晶の鼓動』という続編で、原作では登場しないのに脚本に書き加えてくださって。前回の打ち上げで“また撮れたらいいですね”なんて冗談で話していたのが今回実現したんです。同じスタッフの方とまた仕事ができるというのは、本当にうれしかったです」

 3年経って、同じ役を演じる難しさは?

「役柄を研究するためにもう一回作品を見直しました。気になる動作や仕草を再確認して“こういうふうに座るんだ”とか“癖はこうだったな”とか。でも今作は同じ役でも殺人犯になる前の話なんです。『石の繭』、『水晶の鼓動』は、猟奇的殺人犯になった後の話なので。その状態でのお芝居しかしたことがなくて…。そこが難しかったですね。たとえば日常生活。雅人は、今まで人と会話をしているシーンが一度もなかったんです。人と話すときはどうしていたんだろう、とかそういう普通の部分に一番難しさを感じました。なので雅人がどの場面をきっかけにして猟奇的殺人犯・トレミーになってしまったのか、そのポイントがどこだったのか、を監督に質問しました」

 原作にない役を演じる大変さとは。

「今回、大事になってくるのは“人との距離感”だと思ったんです。人物としては、殺人を長年計画していて、顔を隠すために髪を長くして、身分も隠して偽名も使っている人。でも、意外とこの作品では、同じアパートに住む老夫婦と普通に会話をしたりしているんですね。そういう場合はどうしたらいいんだろうって。これは新しい感覚でした。そういった部分の相談を監督と繰り返ししていきました」

 物語の重要な要素となっているのが“母と息子”というテーマ。幼少期におけるその関係性が、雅人を殺人へと向かわせる人物形成に関わっている。母への思いは共感できる部分、と語る。

「殺人犯といえど、雅人に共感できる部分はあると思います。ダークヒーローというか、かわいそうな主人公なんですよね。殺人を犯しているんですけど、それは優しさが発端となったもので、それがトレミーという人物の魅力にもなっています。そういった背景が役に深みを与えていて、いいキャラクターになっていると思います。強いて言うなら、僕も母のことは好きなので、母親に対する思いとか、そこは一緒なのかなと思います」


 古川自身は、幼いころの経験が今につながっていることはあるだろうか。

「ひとつは海外に行ったことですね。僕は7歳から11年間、海外に住んでいて。なので日本でずっと育った人とは少し感覚が違うところがあるのかなって思います。たとえば、よく“海外で暮らしたい”とか“留学したい”って言うじゃないですか。僕からすれば、日本って本当にすばらしい国だよ、と。実際、世界一の国じゃないかと思っています(笑)。そういうのって海外にいたからこそ持てた感覚なのかなと思います。あと、日本の製品が海外でものすごく高く評価されているんですが、それらが日本で作られていることを知っている人が少なくて残念に感じたりとか。日本のすごいところがなかなかアピールできなくて、歯がゆい思いをしたこともあります。役者としても、そう感じることがあります。海外の映画で日本人役が出てくる映画を見ていても、だいたい中国や韓国の人が演じていて、子供ながら“なんで日本人は海外で役者をやっていないんだろう”と思っていました。いまだって、海外で名前が知られている日本人の役者さんというと渡辺謙さんくらい。日本の外に住んでいたからこそ、日本人としてのプライドや国を思う気持ちは周りの人より強いかもしれませんね。英語を習得したことで、海外の作品もやらせていただく機会にも恵まれているので、そういう気持ちを胸に、活動の幅をこれからも広げていきたいと思っています」


■「殺人分析班」見ごたえの秘密

 本作では、リアルな緊迫感をもたらすロケーションなど、撮影シーンにもこだわりが満載。

「本物の廃墟で撮影しているんですよ。『殺人分析班』シリーズではロケ地を決めるときに本当にそういった廃墟や団地を選んでいるみたいです。いくつかのロケ地は撮影後に、なくなってしまうらしく…。それくらい古いところに行きます。今回行った場所も、蜘蛛の巣があったりネズミがいるような場所で行いました。本物の廃墟です。一方、スタジオのセットは美術さんがとてもこだわって作って下さいました。たとえば『石の繭』で雅人が団子を食べていたので、今回も僕の部屋には団子の串が置いてある、とか(笑)。あと、雅人はガスマスクをするシーンがあるんですけど、別のシーンで軍事マニアっぽい人の部屋が出てきて、そこにいろいろなマスクが置いてある。もしかしたらここで手に入れたかも?って思わせるような遊びも入っていますね。細かいところまで楽しめます」

 3作品を通し、内片輝監督とは揺るぎない信頼関係を築いていたという古川。監督とのコミュニケーションについても語った。

「現場で何か提案とか、お伝えすることはほとんどないです。撮影が止まってしまったりもしますし。僕はだいたい、衣装合わせまでにセリフを覚えて、衣装合わせの段階で質問を投げて、クリアにして現場に入っています。ただ、今回は監督と3度目だったということもあり、監督の言うことに間違いはないという信頼があったので、そんなに質問をすることもなかったです。どこでトレミーになってしまったのか、老夫婦との距離感はどうしましょうか、という2点だけはしっかり確認しました。役者の意見も聞いてくださる方なので、とてもやりやすかったです」

 悪役を演じて得たものは?

「特有の楽しさがあります。『石の繭』をやっていたときは、殺人を犯す人ってどんな人物なのか、どうやって役作りをするかを自分なりに考えるなかで役者としてのやりがいを感じていました。当時、殺人犯が描いた絵を展示した『シリアルキラー展』にも行ってみたりして、殺人鬼の心情とはどういうものなんだろうと、毎日のように考えていましたね。悪役は、役者としての引き出しが増えるので演じていてとても勉強になります」


■いつもは人見知り!?「今回は積極的に」

 普段からミステリー小説や映画を目にする機会は?

「多いですね。ミステリーでいうと、最後の5分間にどんでん返しがある映画とかあるじゃないですか。ああいうのが好きです。役者なので、作品をどうしても役者目線で見てしまうところもあるんですが、ミステリーはそういうのも忘れちゃうくらいのめりこめます。そういう意味で選ぶことが多いです。恋愛ものはあまり見ないかもしれません(笑)」

 撮影を終えて楽しみにしていることは?

「作品が終わって牛タンを食べに行くことですかね(笑)。焼き肉って撮影期間中はなかなか食べられないんです。どうしても用意していただいたお弁当を食べる機会が多くなってしまうので、自分が選んだものを食べられないというストレスがちょっとあるんですよ。撮影が終わったら食べたいものを食べる、というのは一つの楽しみですね」

“人を拒絶し、関わろうとしない”という役柄だが、自身は人との距離感をどう取る?

「プライベートで会う人やスタッフさんに対してはわりとフランクです。役者さんに対しては人見知りをしたりします(笑)。でも今回SUMIREちゃんがほぼ初めてのドラマ出演ということで、座長として、僕からけっこう話しかけていました。僕にしては珍しいんですが、自分から積極的にコミュニケーションをとりましたね」

 もともとの台本にあった「僕の花を咲かせます」というセリフが印象的だそう。俳優としての今後のキャリアで、自身はどんな花を咲かせたい?

「この世界で、花を咲かせられる人はごく一部だと思います。僕は、最終的に納得のいく形で役者人生を終えられたら、と思っています。僕は10年この仕事をしていますが、この仕事を続けられることがどれだけ難しいかを知っています。仕事に恵まれていることに感謝ですね」

「僕は、仕事のことしか考えていないんです」と笑顔を見せる古川。キラキラした見た目や恵まれた才能、あふれるポテンシャルとは裏腹に、演技への情熱と驚くほどの冷静さを兼ね備える。悲しき殺人者を体現し、間違いなく演技の幅を広げた彼は、今後どのように飛躍していくのか。実力派俳優としてさらに羽ばたく姿に期待したい。


(取材・文 丸山裕理)

最終更新:10/15(火) 6:01
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