ここから本文です

神奈川・高校野球の歴史を作った県立相模原、佐相眞澄監督「打倒私立!」の改革とは?

10/15(火) 12:10配信

REAL SPORTS

保護者会、OB会、分析班、メンタルコーチ… 多くの人たちの力が結集

バックネットの後方には民家が多く建っている。フリーバッティングの打球が飛び込めば多大なる迷惑がかかるからと、防御ネットを二重に張り巡らせている。それだけではない。速球対策用のピッチングマシンの購入やナイター照明、屋根付きのブルペン、ぬかるまない土への入れ替えなどの練習環境を、時間をかけてコツコツと整えてきた。

当然ながらお金がかかるが、高校側の支援にも限界がある。そうした状況下で、佐相監督は座右の銘に据えてきた「環境は人がつくる。その環境が人をつくる」を保護者会やOB会との連携を密にして、全面的な協力を得ながら実践してきた。

「例えば防御ネットは、保護者の方々がいろいろなところから集めてきたものを編み込んでいただきながら、大きな形にしてもらいました。保護者会やOB会とはコミュニケーションというか、“飲みにケーション”でやっています」

ベンチ入りメンバーには上限があるため、当然ながら応援に徹する選手たちも出てくる。ユニフォームは着られなくても力になりたいという思いが、3年生を中心とした分析班を誕生させた。対戦相手のデータを、十数試合もさかのぼって微に入り細をうがって分析。ピッチャーの配球だけでなく、バッターの打球の方向なども綿密に調べ上げてくれる分析班へ、温品も感謝の思いを忘れなかった。

「カウント別のデータなどもそろっているので、球種やコースを絞れるし、思い切ってスイングすることができます。守っていても失点を防ぐというところで、勝利に役立っていると思います」

プロも注目する左腕、及川雅貴を中心とする横浜投手陣や強力打線のデータもほぼ完璧に出そろっていた。例えば準々決勝。3対5と詰め寄られた状況で急遽登板した及川にも強烈なヒットを浴びせ続け、成就させた大逆転劇は積み重ねてきた練習に入念な分析作業が加わった末に生まれていた。

東海大相模に2点のリードをひっくり返され、悔し涙を流した昨夏の準々決勝を教訓として心も鍛えてきた。佐相監督のつてで招聘したスポーツメンタルコーチ、東篤志氏の指導のもとで、今夏の県立相模原の選手たちは例えば「さあノーアウト満塁。打席には何々君が入ります」と、自分が登場する状況を頭のなかで実況中継しながら打席に入っていたと佐相監督が明かす。

「そうすることで自分を客観視できて落ち着ける。ゾーンに入るからか、ブラスバンドや音や応援団の声が聞こえなくなるらしいですよ」

3/4ページ

最終更新:10/15(火) 20:05
REAL SPORTS

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事